投資銀行Saxo(サクソ)の調査では、英国人の28%が生活費高騰の危機により、過去1年間に旅行の計画を断念せざるを得なかったと回答。また、テイクアウトの購入や外食を減らしたと答えた人は3割強で、暖房をつけなかったと答えたのは23%だった。
英国内の一風変わった宿泊施設をまとめたQuirkyAccom.com(クワーキーアコム・ドットコム)の創業者ジェス・トウィッチンCEOによると、新型コロナウイルス流行の収束を受け、繰り延べ需要による旅行者は急増したが、パッケージツアーの需要はその後低下し、3分の1の人は旅の支出を減らそうとしている。また、航空会社やストライキが引き起こした交通の混乱や、欧州連合(EU)域内の観光地での価格高騰の恐れにより、英国では国内旅行をする人が増えているという。
一方の米国では、旅行を計画している人の82%が、そのための資金を貯める必要があるとのデータがある。こうした中、後払い決済(BNPL=Buy Now, Pay Later)制度を利用する人が増えている。
旅行検索サイトのKAYAK(カヤック)は最近、旅行費用のBNPL利用を容易にするため、フィンテック企業Affirm(アファーム)と提携すると発表した。同社は全ての決済についてリスク評価を行っており、支払い能力がある人のみに貸し付けを行い、隠れた手数料や延滞料、複利、延滞利子を請求することはないとしている。
とはいえ、その他のケースではBNPL制度が負債につながる可能性もある。例えばクルーズ会社では、クルーズ利用後に費用全額を月払いで返済する方式が一般的になりつつある。
消費者の貯蓄を支援するサービスを提供する企業Accrue Savings(アクルー・セービングス)がBNPL企業についてアンケート調査を行ったところ、米消費者の5人に1人が旅行を理由として負債を抱えていた。
アクルーの創業者マイケル・ハーシュフィールドCEOは、多くの利用者がこうした負債を返済できず延滞料をため込んでしまうと語った。BNPL利用者の半分近くは期限通りに返済できず、3分の1以上は返済にクレジットカードを使っていた。
既にクレジットカードの借り入れがある人の場合、こうしたBNPL制度は理想的な解決策ではないかもしれない。
(forbes.com 原文)