デンバー大学ダニエルズ・ビジネスカレッジのシンクタンク、トゥルース・イン・アカウンティング(Truth in Accounting)が発表したレポートによると、人口が最も多い75都市のうち、赤字に陥っているのは50都市だ。一部の負債は巨額にのぼっている。
例えば、2021年度予算の赤字額が1位の約1715億ドル(約23兆円)だったニューヨーク市で、すべての納税者がこれを等しく分担したとすれば、1人当たりの負債は約5万6900ドル(約750万円)になる。
ただ、同市の赤字額は、2017年度と比べて約11%減少。反対に、負債額が2~5位の都市はいずれも、4年間で負債を大きく増やしていた。
増加率が最も高かったのはニューオーリンズで、納税者1人当たりの“借金”は2017年から3割以上増加し、2万2700ドル(約300万円)となった。負債額の順位は、4年前の10位から5位に上昇している。そのほかポートランドも、8位から4位へと大きくランクを上げた。
株価が公務員の年金などに影響
トゥルース・イン・アカウンティングがこのレポートで指摘している自治体の大きな問題点の一つは、巨額の負債を抱えることにより、公務員への年金などの給付が危険にさらされていることだ。一部の都市は、公務員の年金や退職者向けの医療給付金を支払う義務があるにもかかわらず、バランスシートの項目からそれらを除外している。レポートによると、会計年度中に発生する支出と収入のみを記載することで予算の釣り合いがとれているかのように見せ、準備しておくべき支出を明確にしていない自治体もある。
また、年金積立金は株式市場に投資されていることも多く、この運用方法は大きな利益が期待できる一方で、同時にリスクも抱えている。2022年の市況が及ぼした影響からも、このことは明らかだ。
2021年度はその市況の影響により、大幅な黒字を出していた自治体もあった。ワシントンD.C.やサンフランシスコ、アーバイン(カリフォルニア州)などは、そのため昨年も引き続き、予算を均衡させることができていた。
以下、人口が多い米国の75の大都市のうち、“借金で首が回らない”10都市を紹介する(金額と%は、納税者1人あたりの負債額と2017年度との比較)。
1位:ニューヨーク(5万6900ドル/-11.2%)
2位:シカゴ(4万1900ドル/+16.4%)
3位:ホノルル(2万6100ドル/+13.5%)
4位:ポートランド(2万3400ドル/+15.3%)
5位:ニューオーリンズ(2万2700ドル/+32.7%)
6位:フィラデルフィア(2万1800ドル/-21.9%)
7位:セントルイス(1万8000ドル/+7.8%)
8位:ダラス(1万4700ドル/-31.9%)
9位:ピッツバーグ(1万4600ドル/-18.0%)
10位:マイアミ(1万4000ドル/-1.4%)
出典:2023 Financial State of the Cities/ Truth in Accounting
(forbes.com 原文)