キャリアアップに向けた「To Do(やること)リスト」の代わりに「To Don’t(やらないこと)リスト」を作ってみてはどうだろう? リストには、エネルギーを消耗させ、進展を妨げ、自分の目標に合わないようなことを入れる。「やらないこと」は「やること」と同じく、キャリアアップにおいて重要な役割を果たす。
仕事での生産性と満足度の向上のためには、やる作業を減らすことが重要であることは、科学的にも示されている。
デイビッド・ロックは著書『最高の脳で働く方法』で、人が本当に仕事に集中できる時間は週に6時間で、典型的な1週間の勤務時間である40時間のわずか15%だと指摘した。残りの85%を変化させるには、エネルギーと時間を使うものの実際には成果を生んでいない作業をやめる必要がある。
キャリアの「やらないことリスト」を作る必要がある理由は次の3つだ。
1. 最も重要なことに集中できる
自分の目標を明確化できたとしても、その達成に向けて集中し続けることができるとは限らない。それを心に留め「手を広げ過ぎない」といった項目をリストに加え、最も重要なことは何か、その達成に必要なものは何かを忘れないようにしよう。重要性が低いものは優先順位を下げるか、優先リストから完全に消す。2. 自分の能力をフル活用できる
あることが「できる」からといって、それを「すべき」とは限らない。やらないことリストに「他の人に頼める作業をしない」といった項目を含めれば、自分の貴重な時間を高度なスキルが必要な戦略的作業にためらわず費やせるようになる。簡単にできる作業は誰かに頼んだり外部委託したりすることで、自分の能力を最大限活用できる。3. 非生産的で消耗する作業をしないで済む
高い目標を持っている人は、すべてを自分の手でやりたいと思ってしまう。周囲と差をつけたい人は、頼まれることは何でも受けてしまいがちだ。しかし「忙しい=生産性が高い」とは限らず、するべき作業に線引きをしなければ、貴重な時間とエネルギーを消耗してしまう。やらないことリストをつくれば、こうしたものを避けられる。リストには「エネルギーを消耗させる作業や人には時間を使わない」や「時間の無駄になることはしない」などという項目を書けばよいだろう。
リストに書かれている項目に従うにはもちろん、自分の目標達成に貢献しない依頼や人を拒む術を学ばなければならない。だが、非生産的でエネルギーを消耗するこうした作業を断ることで、時間の無駄がなくなり、やる気の源となるような生産的作業に取り組める余裕が持てる。
キャリアアップのカギは、単に作業を増やすことではなく、正しい作業を増やすことだ。「やらないことリスト」を作ることで、こうしたものに集中し続けることができる。
(forbes.com 原文)