シベリアで開催されたクラスノヤルスク経済フォーラムで、デリパスカは「国家と企業が絶えず対立していることを常に心配している」と発言。さらにロシアのウクライナでの戦争が2025年までに沈静化することはないと仮定し、あと10年間は欧米の投資家がロシアを避ける可能性を指摘した。
「来年には金が尽きるだろう。だからこそ、彼らはすでに我々を揺さぶり始めているのだ」とデリパスカは話し、ロシアが事業を継続するためには外国人投資家が「必要」だと付け加えた。デリパスカはロシアの複合企業Basic Element(ベーシック・エレメント)を創業し、アルミニウム生産で財を成した人物だ。
ロシア政府とのつながりを理由に制裁を受けているオリガルヒから驚くような批判が飛び出す数週間前、プーチンは軍事費の削減はないと約束した。ウクライナでの戦争のための支出に「制限はない」、勝利をものにするために「軍が求めるものはすべて与える」と当局者に語った。
デリパスカは2日「ロシアは市場経済を発展させ続けるべきだ」と述べ、現在も続く対ロシア制裁が招く「深刻な」事態を警告し「国家資本主義は選択肢ではない」と注意を促した。
プーチンが昨年2月下旬にウクライナへの侵攻を命じた後、経済低迷は急速に悪化し、テック、防衛、エネルギーといった産業、金融機関、国内の富裕層など、ロシア経済の大部分を対象とする制裁リストが増える中で深刻化している。ロシアの昨年の軍事費は計約3兆5000億ルーブル(約6兆3395億円)と予想されていたが、9月にはその水準を超えたと報じられた。
ロシアへの投資を禁止する国が増える中、経済学者はロシアの財政赤字が55%以上拡大し、4兆5000億ルーブル(約8兆1510億円)に達すると予測している。だが、ロシア政府が出すデータに疑問がつきまとい、同国最大の輸出品である石油価格の動向も不透明なため、ロシアが財政赤字のままいつまで持ち堪えられるか予想するのは難しい。
フォーブスの推定では、デリパスカの資産は約29億ドル(約3965億円)だ。2008年の長者番付でロシアでトップ、世界で9位にランクインしたが、その後、市場の暴落や多額の負債により資産は急減した。
(forbes.com 原文)