とはいえ、一般企業がリスキリングの機会を社員に提供するのは簡単なことではない。そこで人気が高まっているのが社会人教育事業などを推進する会社「Schoo(スクー)」が提供する学習サービスだ。
2011年10月に設立された同社は、約8000ものオンライン学習コンテンツを持つ。デザインやプログラミングなどデジタルスキルはもちろん、コミュニケーション術や腰痛を解消する姿勢学など、日常に関する知識までカバーしているのが持ち味だ。会員数は約43万人(2019年12月末時点)から約84万人(2023年1月末時点)へと急増。利用する法人も倍の2900社にのぼり、コロナ禍を挟んでそのニーズは高まっている。
しかし、スクー代表の森健志郎(もり・けんしろう)は「リスキリング意識上昇の背景には、コロナ禍で加速したDXの流れだけでなく、社会の構造変化も影響している」と語る。なぜ社会人の学び直しがこれほどまでに注目されているのか。森に話を聞いた。
リスキリングは誰にとって必要か
そもそもリスキリングとは何か。スクーでは「社会人教育」と総称し、コンテンツを届けているが、そのなかには、リスキリングとアップスキリングという2つに区分けがある。・リスキリング:他業種への転職や独立を目指し、現職とは異なる領域を学ぶ
・アップスキリング:現在の職業のスキルをより高めるために学ぶ
この定義を踏まえ、森は次のように話す。
「リスキリングを頑張っている人やこれから取り組み始める人は、リスキリングしないことには生活していけなくなる可能性のある人たちです。今の職業がAIやロボティクスに代替されたり、産業自体が衰退していったり、特定の部署がデジタル化の波でなくなってしまったり。そういう未来が少しずつ近づき、危機感が増していくなかで、学び直しに目が向いていくのではないでしょうか」
前述したように、スクーは豊富なバリエーションの学習コンテンツを8000種類も保有している。何から学んだら良いのかわからないと迷った時、スクーに駆け込めば、意中のコンテンツにたどり着くという仕掛けになっているのだ。
「スクーには、参加者同士でコメントを共有しあえたり、先生に直接質問を送れたりするといった『双方向性』の体験があります。それが高く評価されているポイントではありますが、何よりもあらゆる業界、職種、スキルの方に対応できるコンテンツの幅の広さが、社会人教育市場で選ばれるアドバンテージです」