会場にスター俳優であるジャック(ブラッド・ピット)が姿を現す。彼はいきなり妻から離婚を言い渡されるが、気にも留めず会場の女性に声をかける。
1920年代のスター俳優ジャックを演じるブラッド・ピット (C)2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
一方、東海岸のニュージャージーから女優をめざしてロサンゼルスにやってきていたネリー(マーゴット・ロビー)は、映画界のVIPが集まるパーティに潜り込もうと自らハンドルを握って会場に乗りつけ、いきなり屋敷の銅像に車をぶつけてしまう。
警備員の制止を振り切って会場に入ろうとするネリーを見つけ、マニーは彼女を助けるが、そのことをきっかけに2人は知り合い、映画界に同じ夢を抱くどうし互いに好意を寄せていく。
マニー役のディエゴ・カルバとネリー役のマーゴット・ロビー (C)2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
パーティの大盛況とともに登場した連れてきた象が会場に混乱を引き起こすと、マニーはすっかり酔い潰れたスター俳優のジャックを自宅まで送り届けるよう指示を受ける。
マニーに連れられ自宅に戻ったジャックだったが、テンションが高くバルコニーからプールへと落下する。そして、この日の出会いがきっかけでマニーはジャックの助手を務めることになるのだった。
15年前から構想していた作品
とにかく導入部から続くパーティのシーンが圧巻だ。まさに「ハリウッド・バビロン」を映像化したような、豪華絢爛でスキャンダラスな場面が続く。ひょっとしたらこのシーンを撮りたいために、作品を企画したのかと思うほど熱のこもった映像が続くのだ。
豪華絢爛なパーティシーン (C)2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
脚本も担当しているデイミアン・チャゼル監督は、この「バビロン」という作品を15年前から構想していたという。もちろん「ラ・ラ・ランド」で最年少のアカデミー賞監督賞に輝くよりかなり前、大学時代に初の長編作品を発表した頃からだったという。チャゼル監督は言う。
「芸術形式や産業がまだ確立されていない黎明期を、顕微鏡でのぞいてみたかった。そしてより深いレベルで、変化を遂げる社会を観察するということも好きだった。1920年代のハリウッドは、急激な、時には大変動とも言える変化を繰り返し、一部の人々は生き延びたが、多くは消え去った時代だった」
デイミアン・チャゼル監督 (C)2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
作品のなかでは、サイレント時代のスター俳優ジャック、恐れを知らぬ奔放さで女優として映画界を駆け上がっていくネリー、そしてメキシコからやって来てハリウッドという夢工場で志を貫いていくマニー、この3人の運命が交錯しながら物語が語られていく。