装着して「考える」だけの入力デバイス、英Mind Portalが開発中

Mind Portalのデモを体験する筆者。脳の思考による操作は意外なほどスムーズにできた

リモコンを持たずにメタバース空間に触れられる未来

私たちの日常生活にブレインマシンインターフェースはどんな革新を届けるのだろうか。

アラム氏は、同社のウェアラブルデバイスは「PCだけでなく、スマートフォンやゲーミングデバイスなどあらゆるデジタルデバイスと接続できる」と答える。「脳による操作」はマウスやキーボード、トラックパッドなどに代表される一般的な入力デバイスによる操作に置き換えられるという。さらにデバイスどうしを仲介するソフトウェアをつなぎ込めば、例えば「思考を即座にテキストに変換」したり「ロボットアームを自在に動かす」ことも可能だとアラム氏は語る。


8つのセンサーが読み取る脳波をデバイスの入力操作に変換する。電気信号としてつなぎ込めば、さまざまなハード・ソフトウェアが思考だけで操作可能になるという

ブレインマシンインターフェースは脳からの信号を直接読み取れるので、手や指を使って物理的な入力装置を動かす場合と比べて「レスポンスの速さ」に優位性があるという。説明を聞くだけではまさかそんなはずはと思うが、マインドポータルの試作機によるスムーズな操作を体験すると、アラム氏の発言が大げさではないことがわかる。例えばメタバースの世界の中でさまざまな仮想オブジェクトをタッチして操作するために、現在は多くのヘッドセットメーカーなどが物理コントローラーを開発している。ブレインマシンインターフェースがあればメタバースの中を「ハンズフリー」で動き回れそうだ。

マインドポータルでは今後、ウェアラブルデバイスの技術面の開発をブラッシュアップしながら、同時にプロダクトデザインも「誰もが身に着けたくなるスマートな形」に近づけている。アラム氏によるとすでにプロダクトデザイナーを交えて本格的な検証を始めているという。


Mind Portalが開発を進めるウェアラブルデバイスの商品イメージ。頭部に装着する軽量なヘッドバンドスタイルになる予定だ

想定するターゲットユーザーはビジネスパーソンやクリエイティブワーカーなど、一般のコンシューマーだ。アラム氏は他にも自動運転車や飛行機のビジネスクラスのシートなど、ハイクラスな移動手段に「脳で操作」するインターフェースがマッチするはずと期待を寄せる。

今回のSCRUM CONNECTへの出展が日本のビジネスパートナーからも注目を集める機会になるはずだ。マインドポータルはこれから年内もさまざまな機会で独自のブレインマシンインターフェースを披露するという。開発の進捗に引き続き注目したい。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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編集=安井克至

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