試作機を体験。期待以上にスムーズな操作感
SCRUM CONNECTの会場には、マインドポータルが開発を進めているブレインマシンインターフェースのプロトタイプが展示された。筆者もこれを体験した。ハードウェアはまだ試作段階であるため、見た目にはヘッドギアのような形をしている。E-WAVEを読み取る個別のセンサーを全8基、後頭部に密着させる。イベント会場では市販のVRヘッドセットを使い、仮想空間の中にあるボタンやアイコンを「脳で操作」する。ソフトウェアは今回のデモンストレーションのためにマインドポータルが作り込んだ。
デモに使うVRヘッドセットは、仮想空間の中で顔の向きや視線を移動させるためのインターフェースでもある。マインドポータルのブレインマシンインターフェースは人間が「意志(intent)」を決定する際に脳が発する特定の電気信号読み取る。これにヘッドセットが内蔵する加速度センサーや、外部の視線トラッキングセンサーなどが連動する。
仮想空間の中でアイコンに目線を合わせて「選択」した後、そのまま2〜3秒ほど意識を集中(実際にはそちら側に顔を向けているだけなのだが)し続けると「タップ・クリック」の操作を実行する。
Mind Portalがデモンストレーションのために制作したアプリケーションのイメージ。仮想空間に表示されるインターフェースを脳波で「選択」する
今回マインドポータルが用意した試作機は、ヘッドセットとPCをつなぐUSBドングルの間をBluetoothで接続する方式とした。CEOのアラム氏は、ユーザーの「意志」を確かめるために選択実行まで数秒のタイムラグが発生するが、信号の遅延はほぼないと説明している。筆者も実際に体験して、操作性は想像以上にスムーズだと思った。ユーザーが特殊なトレーニングを積み重ねなくても、誰でも直感的に操作できるところも魅力だ。後頭部に触れるセンサーが熱を持ったり、ピリピリと肌を刺激する不快感もなかった。
CTOのバーベル氏は、2025年を目標とする商品化時期までにはウェアラブルデバイスの小型・軽量化をさらに押し進めるとしている。また「試作中のデバイスは人間の脳が発しているE-WAVEを常時測定しているためバッテリーを消耗する。将来は12時間以上の連続使用ができるようにしたい」と意気込む。