ファッション

2023.02.15 11:00

人気再熱のDIESELが見つけた Z世代のスイートスポットとは

(左から)ディーゼルジャパンCEOの高實康誠、シトウレイ

サステナビリティへの配慮は?

シトウ:他に、以前のDIESELと変わったことってありますか。
advertisement

高實:サステナビリティへの意識が非常に高くなっています。デニムのDIESEL Libraryというコレクションなど、定番商品を完全サステナブル仕様にどんどん変える取り組みをしています。

例えば、無亜鉛処理のメタルボタンを採用したり、ウォッシュ加工は水を使用せずにレーザーで加工したり、ストーンウォッシュは軽石ではなくゴムのボールを使用するとか、環境負荷を少なくすることに注力しています。

シトウ:やはり。意識されているんだなとすごく感じていました。アップサイクルに関してはどうですか。

高實:いくつかありますが、そのうちのひとつが文化服装学院の生徒さんたちとのコラボ。DIESELのデッドストックやサンプルなどの産業廃棄物をアップサイクルしてもらい、展示販売する取り組みです。
advertisement

この2月には廃棄物を再利用したディーゼル・リハブデニムが登場します。ディーゼルの裁断くずを製造工程に取り入れ、100%リサイクルコットンとプレコンシューマーの廃棄物からのリサイクル繊維をとりいれた循環型のデニムです。

あとは、昨年末から店頭でもデニムパンツを回収する「ディーゼル デニム リコレクションキャンペーン」を不定期で開催しています。2022年度のキャンペーンで回収したデニムは、現在DIESEL SHIBUYAでリユース品として取り扱っています。

シトウ:そうなんですね。あとで見に行きます!

Z世代はネットよりも店で買う

シトウ:最後に、今後強化していきたいことは何ですか。

高實:接客の精度を上げたいと思っています。もともとDIESELの店舗では、Feel at Homeっていうフレンドリーな接客を大事にしています。ただ、来店していただいたお客さまにもっとしっかりメッセージを伝えるには、販売員一人ひとりにブランドのことをさらに深く知ってもらわないといけないですし、お客さまが来店されている理由をしっかりくみ取るスキルを身に付けてもらわないといけません。コーディネート力やプロファイリング力の重要度も、これからさらに増してくるでしょう。

シトウ:Z世代ってネットで買うイメージがありますが、店頭にくるんですか?

高實:来られますよ。若い人たちには「あのお兄ちゃんの接客でウエアリングを決めたい」といった帰属意識のようなものがあるようです。5、6人の団体で来られて、誰かの服を選ぶのに、みんなでああでもないこうでもないと話したりしながら買い物を楽しんでいるようです。

シトウ:へぇ〜! もう1つ上の、H&Mとかフォーエバー21での買い物に慣れている世代は、接客のないコンビニみたいな感じで買いたい人が多いけれど、たしかに言われてみれば、若い世代は、話して買いたがるんだろうなって感じがしますね。

それにしても、決して安くはない価格なのに、そこまでZ世代の子たちが買うというのはすごいですね。

高實:自分でバイト代を貯めて買いに来てくださる方もいれば、ご家族に買ってもらうケースもありますね。Z世代の親はバブル世代、つまりマハラジャ世代で消費が好きなんです。じゃあ一緒に買うか、みたいなこともよくあります。

シトウ:おもしろい! てことは、マハラジャ世代の子どもたちが生んだ子どもはまた、消費が好きな世代かもしれませんね。

シトウ:今回、お話を聞いて、なぜDIESELが若い世代に刺さっているのかクリアになりました。最初は「Y2K」なデザインだからかなと、デザイン性だけで考えていたんですよ。でも、昔から出しているブランドメッセージが、若い世代の帰属意識にガツッとハマった。それが、DIESELが躍進している理由なのかなって思いました。

高實:そうだったら本当に嬉しいです。その辺の流れをより強化してアクセルを踏んでいきたいと思います。

シトウ:楽しみにしています。

聞き手=シトウレイ 構成=田中友梨、久野照美 撮影=山田大輔

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事