「会社の義理チョコ」は終了か、8割強が義理チョコを渡さない

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日本のバレンタインデーの市場規模は、およそ1000億円以上も言われていますが、その大半が「義理チョコ」であることは容易に想像できます。あのスヌーピーの漫画『ピーナッツ』で、バレンタインデーにチャーリー・ブラウンが大きな紙袋をもって登校し、空の袋をぶら下げて意気消沈して帰ってくるというシーンを思い出します。日本でも、会社で義理チョコを配る習慣は1950年代にはすでに始まっていたそうな。

しかし近年になって、そうした無駄な習慣は贈る側にももらう側にも負担になるから「やめよう」という動きも見られるようになりました。チョコレートメーカーが長年かけてせっせと築き上げてきた文化は、減少傾向にありましたが、コロナ禍によって決定的なダメ出しを喰らったようです。

Job総研が、全国の20代から50代の会社員448人を対象に行った調査によれば、今年職場でバレンタインデーのプレゼントを渡さないという人は、「渡さない」と「多分渡さない」を合わせて81.3パーセントでした。過去の調査結果を見ると、職場の人にバレンタインデーのプレゼントを渡した人の割合は、コロナ禍前の2019年には36.9パーセントでしたが、2022円には11.4パーセントに激減しています。

プレゼントの目的は、「本命」が約4割、「義理」が約6割、「忖度」が約4割でした(複数回答)。忖度も義理には違いありません。予算は、本命がいちばん高いのは当然として、義理が500円から1000円。渡す相手の人数が多ければ、かなりの負担になります。そのため物価高騰によってプレゼントを渡すことへの意識が「低くなった」と答えた人は、合計で85.5パーセントにのぼっています。

一方、もらう側も、「期待していない」という人が合計で約8割とバレンタイン文化の衰退を示唆しています。「コロナ禍で対面コミュニケーションが減ってバレンタインの文化は自然消滅した」とか「コロナ禍で職場のバレンタイン文化がなくなり、今年は物価高騰なので期待していない」という意見が聞かれました。

さらに、義理チョコ文化への賛否を問うと、反対派が合計で5割を超えました。女性に限れば64.2パーセントが反対です。贈る側は「もうやめたい」、もらう側も「どっちでもいい」という感覚でしょう。コロナ禍で対人関係が希薄になっているため、バレンタインデーはコミュニケーションのよいきっかけになると肯定派の意見もありますが、「そもそもこの文化に必要性を感じないし、コロナ禍を境になくなってほしい」という反対派の意見のほうが切実に響きます。

チョコレート業界にとっては痛手でしょうが、義理チョコ文化は終わったと見ていいでしょう。もう義理チョコを渡さなくても、薄情な人だと思われなくて済みます。男女関係なく、本当に愛する人に、チョコレートに限らず心のこもったプレゼントを渡すという、バレンタインデー本来の形が定着するといいですね。

Job総研 「2023年 バレンタイン実態調査」

文 = 金井哲夫

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