方向性の定まらない結果について、経済アナリストの森永康平氏はこう話す。
「豊田章男氏が社長職を辞するものの、会長として企業には残ることから、株価に大きな影響を与えることはないと思います。
社長交代については、そのうちあるだろうという認識はもっていましたが、タイミング自体は個人的にはサプライズでした。世界的なEVシフトという流れのなか、新たな体制でどこまで世界に存在感を示せるかが今後の見どころではないでしょうか」
そして、今後の手腕が問われる、佐藤恒治執行役員。豊田社長は1月26日、自社メディア「トヨタイムズ」で佐藤氏を選んだ理由をこう語った。
「レクサスのディーラー大会で何を伝えれば良いか、彼が悩んでいたことがありました。私がアドバイスしたのは『私のマネではなく、個性を大切に』。それに対して彼は『モリゾウさん(豊田社長)が車の運転が大好きなら、私は運転する人を笑顔にする車を作るのが大好きです』と言った。自社の商品が大好きだと言えることは、本当に大切なことです。
私はどこまでいっても車屋で、だからこそトヨタの変革を進めることができた。しかし車屋を超えられない。それが私の限界でもあると思います」
後任の佐藤氏は1992年4月、トヨタ自動車に入社。レクサスインターナショナルのトップなどを歴任し、2021年からはチーフブランディングオフィサーを務めている。
本格的なEVシフトが進み、他社の動きも活発だ。
ソニーとホンダが組み、立ちがったソニー・ホンダモビリティは、米国で開催された「CES 2023」でEVの新ブランド「AFEELA」を発表した。
競争が加熱するなか、かつての王者トヨタはどう打って出るのか。求められるのは、技術者の限界を超える変革だ。