食はテクノロジー×手作りの温もりが融合する「融食」の時代へ

プレスリリースより

2023年は、最先端のAI、食品冷凍技術、輸送技術などを活用しつつ伝統食や手作りの温もりを見直すといった、一見相反するものをうまく融合させて生活を営む年になると、日清オイリオは予測しました。こうした傾向を示すキーワードが「融食」(ゆうしょく)です。

日清オイリオのの生活科学研究課は、社会環境や生活者の価値観の変化、生活習慣の動向について調査分析を行い、毎年のはじめに、その年の「生活者の消費マインド予測」を発表しています。この消費マインド予測は、「高質」、「個」、「共有」、「健康」、環境」の5つの視点で構成されていますが、今年は次のような内容になっています。

高質:作り手の温もりと工夫で、モノやサービスの本質に価値を見出す。
:偶然とカスタマイズで、エキサイティングな生活を楽しむ。
共有:人とデジタルの協奏で、変化した日常の快適さを体感する。
健康:リセット法と時間活用術で、ココロを満たしカラダを整える。
環境:心理的メリットと参加しやすさで、一歩踏み出し無理なく順応する。

ここには、コロナ禍、ウクライナ情勢、環境破壊に起因するサプライチェーン問題の影響を受けた国産へのシフト、昭和レトロブームに代表される原点回帰の傾向があり、それを冷凍技術やスピード配送などの最先端技術が支えるという形になっています。

また、「SNS疲れ」から、自分自身を見直して「競わないコミュニティー」を大切にするようになり、そこでもAIなどのテクノロジーが有効に働く。メタバース、スマホアプリ、進化形自動販売機などがますます発展して、「食の入手ストレスが軽減」され、新しい体験が楽しめるようになる。ロボット家電などを活用してルーティン作業を効率化し、何かに「あえてゆっくり時間をかける」ことを重視し心と体の調和をはかるなど、テクノロジーを駆使して、落ち着いたゆとりのある生活を作ろうとする傾向が見られます。

2022年の消費マインド予測のキーワードは、己を整え、人ともっとつながる「己食」(個食)でした。新型コロナによる社会生活の大変革期にあり、なんとか自分を保とうと頑張っていたように思えます。それに対して今年は、頑張り疲れて一息いれたら、足下のいろいろな素晴らしいことに気がつきはじめたという感じでしょうか。

環境問題についても、2023年は「生活に密着した容器回収実証実験が活況」であったり、地域のフードバンクへの協力、規格外食材が「積極的に商品化される」といった傾向から、地に足を付けた個人の目線から世界を見るようになってきたようです。これまでの頑張り続けてきた生活の速度を落とすことで、自分たちの生活をもっと丁寧に大切に考えられるようになっているのではないでしょうか。

この予測は、当たり外れを評価することには意味がありません。また、この予測に自分の生活を合わせる必要もありません。日清オイリオは「日々の生活の中で使っていただけるソリューションを提供する」ことがこの予測の目的だとしています。今の時代に合った、よりよい生活を構築するためのヒントとして「融食」のコンセプトを頭に入れておくとよいでしょう。

文 = 金井哲夫

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