ビジネス

2023.01.23 08:00

グーグルの弱点を突くマイクロソフトの「ChatGPT」導入計画の全貌

検索エンジンBingにも利用

グーグルとマイクロソフトは、検索ビジネスにおいても真っ向から競合している。マイクロソフトは、オープンAIのチャットボットのChatGPTを、検索エンジンのBingの改善に利用する計画だ。

グーグルは、2014年に人工知能企業DeepMindを買収した後に、マイクロソフトと同様な言語モデルの開発を開始した。例えば、グーグルのLaMDAは、ChatGPTに類似したチャットボットで、ユーザーが質問をすると、人間らしい応答ができるようになっている。

しかし、アップルの元CEOで現在はソフトウェア企業Zetaの共同創業者として知られるジョン・スカリー(81)は、「グーグルにはAIで競争に勝つ明確な機会があったが、その代わりに検索やYouTubeなどのプロダクトに投資を集中させた」と述べている。

「グーグルは広告事業に軸足を置いている。同社は検索に関連する大量のデータを処理することを中心にAIを構築しており、マイクロソフトのような大規模な自動化を伴う生産性向上分野には進出していない」とスカリーは語った。

一方、AIコンテンツ作成プラットフォーム「Writer AI」のCEOであるMay Habibiは、グーグルが自社製品でジェネレーティブAIを展開することを控えているもう一つの理由は、データのガバナンスやセキュリティ、法的問題のリスクの懸念にあるのかもしれない述べている。

ChatGPTは違和感がなく理解しやすいトーンで会話を行うことが可能だが、このチャットボットは時おりとんでもない間違いを犯すことでも知られている。

「グーグルのプロダクトのAIの活用が、シンプルなオートコンプリートにとどまっているのは、LaMDaが長文のコンテンツ生成に対応していないからではない。彼らは、このツールの欠点が、“もっともらしいデタラメ”を生み出すことであることを知っていて、だからこそ、公開を控えているのだと考えられる」とHabibiはフォーブスの取材に述べた。

2019年から2022年までマイクロソフトのデータ・AI担当バイスプレジデントを務め、オープンAIのCEOのサム・アルトマンと密接に働いた経験を持つプリヤ・ビジャヤラジェンドラン(Priya Vijayarajendran)は、「オープンAIは、もともと高度なAIモデルをオープンソースにして誰もが利用できるようにしたかった」と語る。しかし、彼らはマイクロソフトと提携し、営利目的のビジネスモデルにシフトした。

「マイクロソフト時代の同僚や友人から聞いた話によると、彼らはそれを製品にして、より多くの人々に役立つものにしようとしている。私は、サムとそのチームが崇高なビジョンを持っていると信じており、今後もそのビジョンが完全に保たれることを願っている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事