起業家

2023.01.18

「AIの暴走」抑止で起業 ハーバード卒日本人が米国で得た確信

Robust Intelligence創業者の大柴行人(撮影=藤井さおり)

──起業を決めた具体的なタイミングは?

起業のタイミングを伺いながらシリコンバレーのVCに挨拶して回っているなかで、セコイア・キャピタルからシード投資の話を持ちかけられたのです。

事業の将来性も高く評価してもらったので、そこで起業を決め、2019年に会社をつくってすぐに弁護士を雇い、契約書類を作成しました。そこから1年ほどかけて製品化をしました。

──日本の大学発スタートアップは、CEOがコンサル出身のケースもよく見受けられます。Robust Intelligenceはヤロン教授との共同創業ですね。

アメリカでは、大学発スタートアップに限らず、技術畑にいる人が経営者になって、会社を大きくするのがあるべき姿という考えが浸透しています。投資家も、初期のチームを見るとき、CEOや創業者が技術に対するバックグランドやプロダクトへの高い知見を持っているかを重要視するんです。

ヤロンとは、一緒に「子育て」をしている感覚です。例えば、1年前は僕が製品改善を担当し、エンジニアのマネジメントをしていましたが、いまは営業チームをみています。そのときに取り組むべき課題や事業のフェーズによって、互いが得意なほうを担当するという感じですね。

ただ最近は、会社も大きくなって顧客も増え、社内事情をうまくキャッチアップできないこともあります。それでも、先ほど話したように、重要なのは次の方向性を決めていくこと。基本的にはヤロンとひたすら議論するので、お互い違う場所にいても彼と週何時間電話できるかが、勝負になってくるかもしれません(笑)


Robust Intelligenceは、昨年12月、デロイトトーマツグループと協業し、日本企業へのサービス展開を本格化すると発表した。事業拡大とともに、AIの脆弱性への認識が日本でも広まっていく。そういう意味で社会的意義もありそうだ。

文=露原直人 撮影=藤井さおり

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