ドローンとAIはサメの襲撃から海水浴客の身を守れるか?

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チームは可能な限り「確か」なサメAI検知器を作り、オーストラリアの海でテストすることにした。ほとんどのAIは実験室ではそれなりにうまく機能するが、現実の世界では多くの課題を抱えている。だからこそパーセルとブッチャーは検知器を自然の中でテストすることに熱心だった。「以前のAIによるサメ発見システムの検出精度は90%以上で、初期結果は問題が解決されたことを示唆している」と著者らは研究成果を発表するウェブサイト『The Conversation』に掲載されている。「しかし、これらのシステムをニューサウスウェールズ州のビーチ全体で実際に違いをもたらすように拡大することは困難だった。基本的に機械学習の運用においては、AI駆動のソフトウェアはその有効性を維持するために定期的な更新が必要であることを非常にはっきりと認識している」ともある。

著者が説明しているように、AIソフトウェアが「学習」できるように情報を供給するために、研究者は苦労してサメを追跡・識別してサーフライフセーバーのためのモバイルアプリを作成することができた。「この新しいデータセットを使って、ホホジロザメといった危険なサメを含む10種類の海洋生物を認識する機械学習モデルを訓練した。そして、このモデルを新しいモバイルアプリに組み込み、ドローンのライブ映像に映るサメを目立たせ、その種類を予測できるようにした。ニューサウスウェールズ州政府およびサーフライフセービングNSWと密接に協力し、2020年夏に5つのビーチでこのアプリを試用した」という。

試験結果はどうだったのか。「AIサメ検知器はかなりうまく機能した。現実的な条件下で、80%の確率で危険なサメをフレーム単位で識別した。私たちはテストを難しくするために意図的に異なる時期に撮影されたこれまでに目にしていないデータや、異なる外観のビーチで撮影されたデータでAIを実行した」という。

このアプリにはいくつかの限界があった。例えば、似たような輪郭を持つサメの識別は難しく、小さな動物は検出が困難だった。だが研究チームはAIが「オーストラリア中の海岸でドローンを使ったサメの監視作戦で展開できるほど使えるものになった」と確信している。「しかし通常のソフトウェアとは異なり、危険なサメを検知する高い信頼性を維持するためには頻繁に監視・更新する必要がある」という。

南半球は現在、夏であるためドローンは海をスキャンするために再び飛び、できることなら海水浴客を保護したい。「AIはこれらの飛行をより効果的にし、ドローンを活用した監視の信頼性を高める上で重要な役割を果たすことができ、最終的には完全自動化されたサメ発見作業と信頼できる自動警告につながるかもしれない」と著者たちは結んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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