「ビズリーチ」は、2022年に企業の採用担当者が同転職サイトでレジュメ(職務経歴書)を検索する際に使用したキーワードのうち、 前年と比較して検索数が上昇したワードを「2022レジュメ検索トレンド」として発表。データからは、企業が積極的に採用している人材やポジションの特徴・傾向が見えてきた。
「ビズリーチ調べ」(以下同)
1位「開発要件定義」 ビジョンとIT現場の橋渡し人材が人気
2022年、ビズリーチ レジュメ検索トレンドで1位になったのは、「開発要件定義」。2021年には「DX」が注目を集め、同検索トレンドランキングでもトップを飾った。しかし、2022年には具体的なDXの取り組みを深化させる企業が増加。新たな課題が浮き彫りになったことで、システム等の開発を進めるための要件定義を行い、DX実現のビジョン(ビジネス)とIT現場(技術)の橋渡しをする人材のニーズが増加した、とビズリーチは考察する。また7位は「折衝」で、関連ワードは「要件定義」や「プロジェクトマネージャー」「プロジェクトリーダー」「ベンダーコントロール」「顧客折衝」であることから、1位の「開発要件定義」と同様、自社のDX推進において外部のITベンダーとの折衝をする人材や、クライアントのデジタル化支援を推進できる人材の需要が高まっている様子が伺えるという。
こうした「橋渡し人材」は、「アーキテクト」と呼ばれるポジションで、要件定義や仕様策定に加え、ビジネス面での課題解決のために経営視点も求められる。ビズリーチ上のアーキテクト求人は増加傾向にあり、今年はアーキテクト人材を求める企業がさらに増加していくことが予想されている。
2位「エンタメ」 背景にコロナ禍で「エンタメDX」加速
2位には前回のWebアプリに代わり、「エンタメ」がランクインした。同業界では、新型コロナウイルス感染防止を目的に非対面・非接触が求められたことで、DXが加速。AR、VR、ライブ配信プラットフォーム、NFTなど、様々なテクノロジーを用いて新たな顧客体験とマネタイズ手法が模索されており、それに伴う事業拡大や専門人材の採用が見られた。
3位 「Figma」 ブラウザーで使えるデザインプラットフォーム
3位は、ブラウザー上で簡単にデザインができるツール「Figma」。場所を選ばず、1つのファイルを複数のメンバーで編集できることから注目を集めている。「ビズリーチ」は、2022年7月に日本語版がリリースされたことで国内の利用者が一気に増え、採用においてもFigma経験者を求めるケースが増加していると見ている。4位「カーボンニュートラル」 サステナビリティ関連求人が宣言前の11倍
4位には、世界的な環境問題解決の流れを受け、「カーボンニュートラル」がランクイン。前回は5位に「環境」が入ったが、2022年には「カーボンニュートラル」という具体的な環境対策を示すワードに置き換わり、順位を上げた。関連ワードとしては、「脱炭素」「自動車」「新規事業」「SDGs」等が検索され、2020年に政府が「2050年カーボンニュートラル宣言」を行ったことで、企業の脱炭素への取り組みが加速。ビズリーチでは、スカウトが行われているサステナビリティ関連の求人が、宣言前の2019年と比べ2022年には11倍になった。
5位「キッティング」 PC利用者増でセットアップ業務のニーズ高まる
5位のキッティングとは、PCやスマートフォンなどのデバイスを利用者がすぐ業務に使用できるように、各種設定やソフトウエアのインストールなどを行う作業のこと。ビズリーチでは、リモートワークの浸透やDX推進に加え、2022年には企業の採用活動が活発だったことから、入社者の増加に伴ってキッティング経験者のニーズが上昇したと考えている。11位「Python SQL」、20位「リスクマネジメント」
他にも11位に「Python SQL」、20位には「リスクマネジメント」がランクイン。ビズリーチは前者について、Pythonの用途がWebサービスの開発だけでなく、データ処理や分析、人工知能の開発などにもあることから、データサイエンティストの需要が拡大していることが要因だと推測。後者については、各産業、各企業でDXが進んだことや、リモートワークの浸透により、ITセキュリティの必要性が増したことなどが背景にあると推測している。
少子高齢化の影響で、今後ますます即戦力人材獲得のための争いが激しくなっていくことは避けられない。今回のランキングを、企業の人事担当者や経営者には採用戦略立案の材料として、求職者には自らの市場価値把握やスキルアップのために、ぜひ活用してみてほしい。