若者のクルマ離れ理由は経済的負担とトラブル回避

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若者のクルマ離れという話をよく耳にします。シェアリングや残価設定ローン、サブスクなどクルマの乗り方・購入の仕方は昔に比べて多様化しており、よりクルマを利用しやすい環境づくりが進められていますが、それでもなかなかクルマを所有するというのはハードルが高いようです。



ソニー損保の「20歳のカーライフ意識調査」によると、クルマを購入するつもりがない理由として、「購入費用を負担に感じるから」が37.3%でもっとも多く、次いで「車以外の移動手段が充実しており、車に乗る必要性がないから」が28.0%、「交通事故・トラブルを起こしたくないから」が26.7%と続きました。経済的な負担と、事故やあおり運転などのトラブルに会いたくないという理由が大きいようです。



ただ、運転免許の保有率は61.2%で、今後運転免許を取得する予定と答えた人は28.6%にのぼり、この数値を見る限り若者のクルマ離れというのは当てはまらない気もします。しかし実際にクルマを所有しているという人はわずか19.6%しかおらず、いずれは欲しいという願望のほうが圧倒的に多いことがわかります。



では、クルマを所有するにはどの程度の手取り収入が必要かという問いに対し、16万円~20万円が30.7%ともっとも多く、平均すると25.1万円でした。この金額を考えてみると、10代~20代では負担が大きいと感じていることは頷けます。





また、クルマを購入する予算としては、平均で201.3万円。新車の軽自動車や小型車ならギリ買えるレベルで、欲しいクルマの1位が「アクア(トヨタ)」(16%)と意外と庶民的で予算に見合う車種なのですが、それ以降は高級ブランド車が並んでいるところをみると、理想と現実のギャップはかなり大きいとともに、クルマにもステータスを求める傾向があるようです。

都心では交通手段が多種多様あり、無理してクルマを利用する必要はありませんが、地方ではクルマがないと正直生活できません。初期投資だけでなく維持費も馬鹿にならないため所有したくてもできない若者が多く、高度成長期から延々とつづくわけのわからない税制のありかたを見直さないと、より一層クルマ離れに拍車がかかるかもしれません。

文 = 飯島範久

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