ビジネス

2022.12.29

ソニーホンダモビリティが目指す立ち位置とビジネス

CESプレスカンファレンスにて





「モビリティテックカンパニー」とは


ソニーグループの中にあるソニーモビリティはこれまで通りに存続し、ソニーホンダモビリティは2026年発売を目標とするEVを皮切りにEV事業を行う会社として、今後、具体的に販売する製品や製品向けネットワークサービスのの開発と事業インフラ開拓を行なっていくという。

川西氏は「ソニー自身がSONYブランドの自動車を販売する計画はありません」と断言した上で、発表時にソニーホンダモビリティ会長でホンダ出身の水野氏が話した「モビリティテックカンパニーを目指す」という発言について説明した。

「まず自分たち(ソニーホンダモビリティ)のパーパス(存在意義)を決めようと話しました。ソニーとホンダから集まったメンバーの考え方、目指すべき理想は合わなければなりません。ソニーグループが”クリエイティブエンタテインメントカンパニー”というパーパスを掲げているのと同じように”モビリティテックカンパニー”をパーパスとしようと話し合いました(川西氏)」

EVの開発から始めるが、将来を見据えれば必ずしもEVだけではなく、さまざまなモビリティの可能性がある。したがって”モビリティ”という事業ドメインであることは定義しておきたい。ではその事業ドメインで何を追求する会社なのか。それは”テクノロジー”を切り口に顧客価値や社会貢献をしていくのだと位置づけました。100年に1度の変革期と言われるこの業界で、テクノロジーでリードできる企業を目指すべきだ。

川西氏は「このパーパスは社会に向けてのものでもありますが、それ以上にそしてソニーホンダモビリティに参加するメンバーに向けたメッセージとして発信したものです」

さて、結局のところソニーホンダモビリティは、どんな事業体になっていくのだろうか?

「テストやデモンストレーションで公道を走らせることはできても、量産して販売することは全く異なります。さらに踏み込んで自動車産業に入っていくといっても、自動車を生産、流通、販売するための資産やパートナーとの関係をソニーグループは全く持っていない。テスラのようにゼロから組み上げるか、パートナーと共同で事業を立ち上げるか。(川西氏)」

その中でホンダとのパートナーシップを組むに至った経緯は、既に伝わっている通りだが、ソニーグループは自動車メーカー向けのセンサーやセンサーを中心としたソリューション事業をもち、ホンダは言うまでもなくEVも生産する自動車メーカーだ。

その意味は「変化の速度への追従」にあるようだ。

「EVに限らずモビリティ産業は大きな変化が凄まじい速度で起きている。(スピードが速いが故に)将来、取り得る選択肢も増えており、次々に先端技術を躊躇なく投入していく必要がある。一方で法規制などの問題もあり、自動車産業という枠組みでは動きが遅くならるを得ず、越えねばならないハードルも大きい」と川西氏。

2022年3月から始めた話し合いから、半年でソニーホンダモビリティが生まれたのは、既存の枠組みを超えてでも新しいアイディアや技術を投入していくために必要なものということだ。

「既存の枠組みや法規制の中にある大きな組織で、従来とは異なる全く新しいもの作りを行うには大きなエネルギーが必要です。(スピードが何より重要な分野だけに)外に出して自由な環境を作ろうという意識で両者の考えが一致していたこともあり折り合いは早かった(川西氏)」
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松村敦

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