彼は自動車業界のベテランしか持ち得ない洞察に満ちた意見として、Argoの動きは「投資戦略の変化であり、ビジネスや破壊的な技術の長期にわたる動き(特に政府の規則で浮いたり沈んだりする可能性のある動き)の中では、特に目立つようなものではない」と指摘している。
では、Argoに関するニュースで最も重要な点は何だろうか? 2022年初め、フォードやフォルクスワーゲンとの話し合いの中で、Amazon(アマゾン)はArgoに「数億ドル(数百億円)」を投資する用意があるとブルームバーグが報じた。アマゾンは、Argoの自動運転技術を活用して、現在Rivian(リビアン)が供給している大量の電動バンを自動運転化したいと考えていたのだ。だがフォルクスワーゲンがアマゾンと共同経営を行うことに慎重であったため、この話は破談となった。
私はこの話をちゃんと理解できているだろうか。Argoの目の前には、大金を積んで、Argoの技術に高い信頼を寄せている(と思われる)求婚者がいたのだ。この取引を頓挫させたのは、金ではなく組織の力学だ。自動運転車の終焉は近いといわれてはいるものの、その開発と普及をリードしてきた世界的な企業は、さらに自動運転車の裾野を広げようと躍起になっている。
Argoの運命と自動運転車の開発状況についてニュースの見出しは「Amazon Aims To Invest Hundreds of Millions In Automating Its Massive Fleet of Electric Vans(アマゾンが自社の大量の電動バンの自動化に向けて数百億円の投資を検討)」とすべきであったことは明らかだ。
アマゾンがドイツ人(フォルクスワーゲン)に妨害されたからといって(それなりの理由があったのかも知れないが)、尻尾を巻いてそのまま諦めてしまった可能性はどれくらいあるのだろうか? あり得ない。
その代わり、アマゾンとRivianバンの市街地走行に対応できるその他の自動運転車デベロッパーの間で、非常に興味深い議論が進んでいることは間違いない。そして、アマゾンは、自動運転車に賭ける他の多くの主要なプレイヤーと同様に、そのことを軽々しく口にする必要はないと考えているのだ。
否定論者は、心の準備を整えておくと良いだろう。もちろん自動運転車が成功する保証はない。しかし開発者、顧客、投資家が、望ましい結果を得るために黙々と作業を続けているのだから、本当に評価対象とできるものが現れるまで、その否定的意見は控えておこう。
情報開示:私はGatik(ガティック)、Plus(プラス)、RRAIの顧問を務めている。
(forbes.com 原文)