人々が生まれた土地を去る理由には多くのものがあるが、国内で移動する機会やチャンスが本質的に少ない小国が影響を受ける場合が最も多い。カリブ海やオセアニア地域など小さな国が多くて人里離れた地域では、海外移住者が最も多い傾向にある。
人口75万人以上の全ての主権国家の中で、現地生まれの人口の間の海外在住者の割合が最も多かったのは、カリブ海のガイアナ(36.4%)だった。ジャマイカは5位で28.6%だった。
規模にかかわらず独立国を考慮した場合に上位を占めたのは島国で、人口の最大半数が他国に移住していた。全体的な海外移住者の割合が2020年に最大だった地域はポリネシア(28.7%)で、2位はカリブ海地域(17.7%)だった。
海外移住者が多い国としてよく言及される地域には他にも、東欧やバルカン諸国がある。1990年代初頭の共産主義の崩壊により、多くの人はより良い経済機会を求めて西欧などに移り住んだ。こうした地域は1990年代にさらに混乱と紛争を経験し、国外移住の規模は大きくなった。
共産主義国ユーゴスラビアの崩壊に際して1991年に独立を宣言し、その後血に染まった民族紛争が起きたボスニア・ヘルツェゴビナでは、2020年時点で海外に住んでいた国民は34%だった。
アルバニアは1992年、40年以上にわたる共産主義と国際的孤立を終えたが、深刻な財務不正とその後の内乱により1990年代から2000年代にかけて苦境が続き、現在では人口の3分の1近くが海外に住んでいる。
国外移住者の割合が多い国には他にも、東欧・旧ソ連諸国のモルドバ、アルメニア、北マケドニア、クロアチア、カザフスタンがある。
また、現在あるいは最近戦争や紛争を経験している国もランキング上位に位置している。
現地生まれの国民が約2800万人のシリアでは現在、約800万人(およそ30%)が海外に住んでいる。また、2020年に正式に内戦が終結した南スーダンの海外移住者の割合は約21%だ。
深刻な失政を経験している国では、エリトリアの海外移住率が18.5%、ベネズエラが16.6%だ。南米大陸には、他にもさらに大きな人口流出を経験している国がある。エルサルバドルの内戦は1992年に終結したが、ギャングによる暴力がはびこり20%以上の国民が現在、海外に住んでいる。
紛争による最大の人口離散はパレスチナで、国連のデータによるとパレスチナで生まれた人の45%以上が現在海外に住んでいる。