米国でインフル薬「タミフル」の需要急増、国家備蓄を放出

. Photo Illustration by Justin Sullivan/Getty Images

米国保健社会福祉省(HSS)は12月21日、米国が例年より早く深刻なインフルエンザの流行に直面し、抗ウイルス薬の「タミフル」の需要が急増していることから、各州に国家備蓄を放出すると発表した。

食品医薬品局(FDA)によるとタミフルは、ウイルスの増殖を防ぎ、患者の症状を軽減することでインフルエンザの治療に役立つという。この医薬品には液体とカプセルの両方があり、生後2週間以上の幼児や成人の患者の治療に使用可能で、経口で服用することでインフルエンザの感染予防にも使用できる。

タミフルは医療機関の処方箋があれば入手可能だが、米国の一部の地域では今年、一部のジェネリックバージョンが入手しにくくなっていると報告されている。

米国疾病対策予防センター(CDC)によると、今年はこれまでに少なくとも1500万人が感染し、15万人が入院し、9300人の死者が出る過去最悪レベルのインフルエンザの流行になっており、タミフルの需要が急増している。

米国のインフルエンザシーズンは通常2月にピークを迎えるが、CDCのデータによると、今年は例年よりはるかに早い時期に急増し、そのペースが落ち始めている可能性もあるという。

今年は例年より早く、インフルエンザやRSウイルスの患者が増加し、新型コロナウイルスの入院も急増したことから、一部のメディアは「トリプルデミック」と呼んでいる。

今年はタミフルなどの抗ウイルス剤とともに、鎮痛剤や解熱剤の需要も急増し、一部のドラッグストアでは、特に子ども用の鎮痛剤に購入制限が設けられている。当局は、国家備蓄のタミフルを放出することが、治療へのアクセスを拡大するのに役立つと21日に述べた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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