テクノロジー

2022.12.26 16:30

海水淡水化、波力発電、圧縮空気蓄電 世界が求めるイスラエルの環境技術

イスラエル中央部のEin Vered村で、作業員が鶏小屋の屋根に太陽熱で発電するための太陽光発電パネルを設置している(2009年11月15日)。政府がクリーンな「グリーン」エネルギーの開発を奨励する中、イスラエルの多くの農家は、牛舎や鶏小屋にソーラーシステムを設置し、農場の電力供給と余剰電力の国家への売却を両立させている(Photo by Uriel Sinai/Getty Images)

イスラエルは水や農業、再生可能エネルギーといった分野でも独創的な技術を数多く持つ国である。こうした技術はイスラエルを気候変動に対して強靭にするのに役立っているだけでなく、他国でも導入されて同様の恩恵をもたらしている。

「気候危機に対するイスラエルの最大の貢献は、気候関連の革新的な技術によってそれを解決してきたことです」。イスラエルの気候変動・持続可能性担当特使を務めるギデオン・ベハルは、先ごろ筆者が行ったインタビューでそう胸を張った。「実用的で手ごろな、そしてスケーラブル(拡張可能)なソリューション」を開発してきたと述べ、ほかの国と協力している点も強調した。

飲料水の85%を海水から製造


イスラエルは排水の95%を浄化して再利用しており、漏水などの水の無駄も最小限に抑えている。すべての水は計量されており、いつどこでロスが発生したかをモニターで把握できる仕組みになっている。おかげで利用者は水道料金を節約でき、政府も水道への補助金を廃止し、料金収入はインフラへの再投資に回せるようになっている。

中東は飲料水の供給が限られる地域である。豊富にある水といえば海水しかないという国も多い。それを利用しているのがイスラエルだ。イスラエルは淡水化プラント使って、飲料水の85%を地中海の海水からつくり出している。

その技術は国外でも採用されている。たとえば米カリフォルニア州サンタバーバラ市では、イスラエル企業IDEアメリカズの技術供与を受けるプラント「ポセイドン」で、市の需要の30%に相当する日量約300万ガロン(約1136万リットル)の水がつくられている。カリフォルニア州ではこのほか、カールスバッドにもIDEの施設がある。

米国では「ギガソーラー」建設


イスラエルが強みを持つのは水処理技術だけではない。

イスラエルの企業であるドラル・リニューアブルズは、米インディアナ州で1.3ギガワット級の大規模な太陽光発電所「マンモスソーラー」を建設している。約15億ドル(約2000億円)を投じるこの施設は2024年に完成する予定だ。

顧客にはバンク・オブ・アメリカやPNCバンクなどが名を連ねる。バンク・オブ・アメリカはデラウェア州、ペンシルベニア州、バージニア州での事業活動に要する電力の17%をマンモスソーラーから調達する計画だという。

マンモスソーラーによって年間4万トンの温室効果ガス削減と10億ガロン(約38億リットル)の水節約が見込まれている。ドラル米国法人のニック・コーエン最高経営責任者(CEO)は「インディアナ州や中西部での太陽光発電のモデルになる」と力を込める。
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編集=江戸伸禎

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