本年度の「30U30」のソーシャルメディア部門は、クリエイターエコノミーを形成する人物や組織、企業に焦点を当てている。
現代のインフルエンサーが持つ影響力は、フォロワー数だけでは推し量れないほど大きい。ソーシャルメディアの世界で最も傑出しているのは、クリエイターから企業の創業者へ転身したり、創業者からクリエイターに転身した人々だ。彼らは、数百万人のフォロワーを獲得して億単位の報酬を稼ぐだけでは満足せず、ブランドや政治、社会的大義など、世界をより良くすることに力を注いでいる。
アート系ユーチューバーのザッカリー・シェ(Zachary Hsieh、23歳)は、5000万人のフォロワーを持ち、ZHCの名で知られている。彼は、学校や病棟、ロサンゼルスにあるホームレス向けシェルターなどを塗装する慈善活動を行い、ソーシャルメディアで紹介している。
クリエイターのビクター・フォンタネズ(Victor Fontanez、23歳)は、パンデミックの最中に理容師の仕事を失ったが、「VicBlends」の名でソーシャルメディアを通じてモチベーションを高めるスピーチを発信しており、視聴者数は1800万人を超える。彼は、カリフォルニア州の刑務所で理容学校を設立し、受刑者が獄中で理容師の技術を習得する支援を行っている。
プラスサイズモデルのレミ・ベーダー(Remi Bader、27歳)と「ブルーム・ニュートリション(Bloom Nutrition)」の共同創業者であるマリ・ルウェリン(Mari Llewellyn、28歳)は、女性の身体や美の基準を変えようとしている。
政治に影響を与えるクリエイターも
「Gen-Z for Change」の創設者でTikTokスターでもあるエイダン・コン=マーフィー(Aidan Kohn-Murphy、18歳)は、若者に焦点を当てた政治団体を設立した。1000万人のフォロワーを持つインフルエンサーであるアメリ―・ジルバー(Amelie Zilber、20歳)も、政治活動家としての顔を持つ。2人は、気候変動や投票権などの問題に焦点を当てており、その声はホワイトハウスにまで届いている。
コン=マーフィーは、バイデン大統領と面会し、政権と連携した活動を行っている。一方のジルバーは、2020年の大統領選挙中にバイデン=ハリス陣営と提携し、その後ピート・ブティジェッジ運輸長官にインフラに関するインタビューを行っている。