本来ならば1年以上前に市場投入されていたはずのグレカーレだけど、世界的な半導体不足の影響を受け、デビューが2022年4月と半年ほど遅れた。ついに日本市場に導入された同車は、マセラティのシェアの50%を目指すらしい。つまり、グレカーレがどれだけ重要かがわかる。
エンジンはどうか。グレカーレには、V6ツインターボの「トロフェオ」や、僕が乗った「GT」を含む3グレードが設定されている。GTは、2リッター直4のターボエンジンと48Vバッテリー、eブースター、BSGなどのコンポーネントによって構成されている。BSGはオルタネーターとして機能するほか、エンジンに組み合わされるeブースターに電力を供給する。
最高出力は300psと450Nmのトルクを発生。eブースターのおかげで、アクセルを踏んだ時に、ほとんどラグを感じさせない加速感は気持ちいい。確かに4気筒ターボエンジンではあるけど、300psは充分だと思った。高速道路で合流する時でも、一度もパワー不足を感じなかった。ただ、アクセルを踏んだ時のエンジンノイズは、もう少しハートに響くような気持ちの良い音にチューニングして欲しかった。
アクティブ・ショック・アブソーバーとエアスプリングを採用したサスペンションはクルマの安定性を保ち、乗り心地をしなやかにしてくれる。また、レヴァンテと比べて静粛性がかなり上がっているのに驚いた。ステアリングとブレーキのタッチも魅力的だ。ブレーキ・バイ・ワイヤの技術を採用したマセラティ初のブレーキシステムは文句なし。効き目は抜群だし、ドライバーに自信を与える。適度な重さを手応えを持つステアリングが狙ったラインを綺麗にトレースしてくれる。
レヴァンテと比べて、グレカーレは全体的に、開放感があって、質感が高いし、最新のナビやエンターテインメントシステムを採用。ブレーキのレスポンスも気持ちいい。微笑みが生まれる加速や、しなやかな乗り心地をもつコンパクトな高級SUVに乗りたい人は注目しそう。1,300万円から価格設定は、この手のSUVにしてはリーズナブルだろう。