しかし、悪い知らせもある。今シーズンの返品量が、記録的だった昨シーズンを大きく上回るとみられているのだ。再び、商品の処分が相次ぐということである。
米調査会社コアサイト・リサーチが12月はじめに発表したところによると、ブラックフライデー(11月25日)直後の週末の返品率は、昨年同時期のほぼ2倍に達した。返品処理サービスを提供するgoTRGのリポートでは、eコマースの返品率をおよそ20%と見込んでいる。
2021年1年間を振り返ると、米小売市場の総売上高のうち、およそ16.6%が返品された。全米小売業協会(NRF)のデータによれば、これは商品にしておよそ7610億ドル分だ。2022年は、物価の上昇もあり、小売売上高が前年比15%増とも予測されることから、返品率は記録的な数字に達すると思われる。
最終的な返品率がどの程度になるにせよ、小売店にとっては、コストがかさむ返品がますます大きな悩みのタネになりつつある。goTRGによれば、およそ60%の小売店が返品条件を厳しくしており、送料と返品手数料を客に負担させている小売店もあるようだ。
アパレルブランドのギャップ、オールドネイビー、バナナ・リパブリック、J.クルーは、返品受付期間を1カ月に短縮。百貨店コールズは、郵送による返品の送料負担を取りやめた。アンソロポロジーと、アウトドア用品を取り扱うREI(レクリエーショナル・イクイップメント)、L.L.Bean(2018年までは無期限返品保証を掲げていた)は、郵送で返品する客に6ドルほどの送料を負担させている。業界関係者によれば、これは、単に返品を思いとどまらせるためだという。
返品無料というポリシーを取りやめるのは、それほど簡単なことではないかもしれない。調査会社ファースト・インサイトが最近公表した調査「The Discount Dilemma and Returns Risk(割引のジレンマと返品のリスク)」では、消費者の75%が「返品する際に手数料がかかる小売店では買い物をしない」と回答している。また、「返品可能な期間は、30日間から60日間が望ましい」と回答した人も約75%にのぼった。
アパレル業界で発生する廃棄物の量については、相次ぐ報告書で明らかになっている。これにより、小売業界はより大きな圧力を受け、「損失を出してでも顧客を維持する」という方針を見直さざるを得なくなるだろう。
アマゾンでは引き続き、試着してから購入を決められる「Prime Try Before You Buy」が推奨されており、返品可能な商品を複数注文して、買わない分は無料で返送することができる。ただし誠実な小売関係者であれば、返品された衣服はほぼすべて、再販には適さない状態だと認めるはずだ。
とはいえ小売業界では、過剰な在庫の発生により、活気づいている新たなサブカテゴリーがある。起業家たちが、返品された商品をパレットごと買い取り、単発オープンの店舗やポップアップストアで販売しているのだ。
(forbes.com 原文)