グローバルな法律事務所DLA Piperのパートナーであるダニー・トビーは、「AIを離陸させない力には、正反対に働く2つの力、すなわち恐怖と不合理な高揚の2つがあります」と同意する。「多くの人はAIを理解していません。そのためその意図しない結果を心配するあまり、企業にとって価値を生み出す可能性があっても、現実を直視せずに目を背けてしまうのです」。
逆に、誇大広告に踊らされ、期待を裏切られることもある、とトビーは続ける。「AIへの期待がとても高まっているため、AI ができることとできないことについて非現実的な期待を抱く人もいます。そうした人は、AIをクリエイティブな能力を持つ真に自律的な思考機械とみなすSF的な視点で取り組んでいますが、現実には現在のAIの力は深いけれどもとても狭いものなのです。データのパターンを探して問題を解決することはできますが、問題とは何かはまだわかっていないのです」。
AIに対する心配が解消されるまでには時間がかかるだろう。それは、AIがもはや「AI」ではなく、プロセスの標準的な一部となるときかもしれない。OvalEdge(オーバルエッジ)CEOであるシャラド・バーシュニーは、「AIがすべてのビジネスアプリケーションに標準として完全に組み込まれるまでは、多くの組織で、このテクノロジーのパワーと複雑さに対する恐怖が残るでしょう」という。「多くのビジネスユーザーは、AI技術を重要なビジネスタスクに利用するというアイデアに圧倒され、その採用に慎重になっているのではないでしょうか。だからこそ、統合を進めることが基本だと思います」。
重要なのは、「AIは完全に管理可能だ」ということをビジネスリーダーに理解してもらうことだと、バーシュニーは続ける。「ITインフラにAIを組み込むと、その面でのコントロールができなくなるという誤解があります。むしろ、その逆なのです。AIや機械学習によって、テクノロジーは独自に成長・発展することができますが、最終的なコントロールは常に管理者側にあります。AI技術は特定のビジネスプロセスを支援し、ユーザーの指示に基づいてその成果を実現するように設計されるのです」。