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2022.12.26

ビジネスリーダーたちが懸念する人工知能の副作用

Getty Images

先週は、ニューヨークで開催されたAIサミットにチェアマン、プレゼンターとして参加してきた。参加者がみな人工知能(AI)に安心し、そしてワクワクしていたことを報告したい。

失礼。もちろんデータサイエンティスト、AI開発者、AIベンダーなど、当然AIに馴染み、興奮するような人たちばかりが集まっていたのだから当然だ。ビジネスリーダーや専門家にとって、AIに対する安心感や受け入れ態勢は、それほどスッキリとしたものではない。

AIが発展し、その価値が証明されるにつれて不安は少なくなるのかもしれないが、多くの人たちはまだ神経質になっているように見える。AIの導入を阻む最も顕著な要因の1つは、未知のものに対する恐怖心だ。これには、バイアスに対するもっともな懸念、データに対する不信感、機械に制御を委ねることに対する抵抗感などがあり、意思決定者はAIに対して神経質になっている。もちろん、実際のお金、それも多額のお金がかかることも理由だ。結局のところ、AIは実体というより流行で終わりかねないという懸念があるのだ。

AIに対してくすぶるそのような疑念が、最近、ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された。これはハーバード大学のレベッカ・カープとアティカス・ピーターソンの研究をまとめたものだ。2人は、「私たちが現在行っている数十社の企業との調査によれば、AIソリューションが採用されないありがちな理由は、リーダーがAIの導入が自社にどのような影響を与えるかを心配しているからだ」と指摘している。「彼らは、新しい技術が仕事を置き換え、職場のダイナミクスを破壊し、習得のための新しいスキルを必要とするかもしれないことを恐れて躊躇する」。

新しい手法にお金をつぎ込んでも、そこからどこへ向かうのだろうか。「新しいテクノロジーを導入する際に神経をすり減らし、時間とリソースを浪費することは解決策ではない」とカープとピーターソンは述べている。「むしろ、リーダーはAI技術の導入を戦略的に進める必要がある。多くの場合、組織は革新的なイノベーションの開発や獲得には多大な資源を費やしているが、それをうまく展開する方法については十分に考えていない」。
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翻訳=酒匂寛

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