どんな顧客が有害なのかと言うと、例えばビデオ会議での打ち合わせで頻繁に嫌な言葉を浴びせてくる顧客、必ず値引きを要求してくる顧客、あまりにも細かく成果物のやり直しを何度も求めてくる顧客などがそれに当たる。
起業支援サービスを提供する企業インク・アンド・ゴーの創業者アンドレイ・ドイチェフが最近行った調査では、有害な顧客は企業に年間平均4994ドル(約73万円)の損害を与えているとの結果が出た。調査対象となったのは被雇用者として働く米国人1118人で、その5人中3人が有害顧客に耐えられずに退職した経験を持っていた。
ドイチェフは筆者のメール取材に対し、有害顧客から自分のビジネスやスタッフが損害を受けないようにする対処方法を教えてくれた。
・隙のない契約書を作成する
「ビジネスリーダーが顧客を切る理由として最も多かったのが、顧客が非現実的な期待を抱いたり、リーダーの時間を軽視したりしたというものだった」とドイチェフは説明した。
「従って、隙のない契約書を作成することが、あらゆる経営者にとって重要だ。これにより、仕事上の関係での期待値を確定させ、コミュニケーションの基準と期待される成果について線引きができる。顧客が要求する契約内容の変更には、細心の注意を払うこと。こうした要求は将来的な摩擦を生む可能性を示すものであり、前もって対処しておくべきだ」
・やり取りは全て記録する
「顧客との会話の後はかならず、打ち合わせ内容と次のステップについてまとめたメールを送る。こうすることで、関係者全員が期待値や次のステップについて明確に理解できる」
「記録にも残り、誤解が生じていた場合にそれを解決するのにも役立つ。有害顧客の37%は、ビジネスリーダーとのコミュニケーション上の問題について不満を表明しており、やり取りを記録することが扱いにくい顧客に対応するための最も効果的な方法となる」