Twitterの全収益の90%を占めている広告収入は減少傾向にある。同社は第4四半期の広告収入は14億ドル(約1920億円)と予想していた。現在の傾向からすると、同四半期は11億ドル(約1510億円)を大幅に下回るペースだ。非営利の米メディア監視団体Media Matters(メディア・マターズ)のレポートによると、Twitterの上位100の広告主のうち、少なくとも50%がもはやTwitterを利用していないという。これらの広告主は、2022年に7億5000万ドル(約1030億円)を広告に投じていた。通常、Twitterの売上が急増するサッカーW杯でも売上が減少している。
広告売上の落ち込みは世界中でみられる。欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場での11月21日の週のTwitterの広告売上は前週に比べて50%以上減少した。今年これまでのEMEA市場での広告売上は15%減という。
また、Twitterの人員削減も広告売上の妨げとなっている。マスクが10月末に買収して以来、同社の従業員7500人のうち3分の2が去ったと報じられた。その中には、長年にわたって優良企業のマーケティング担当者と重要な信頼関係を築いてきた広告担当の主要幹部も多く含まれていた。
マスクは最近、Apple(アップル)がTwitterでの広告を一時停止したことを受けて、一連のツイートで「言論の自由を憎んでいる」と同社を非難した。Appleは、コロラド州コロラドスプリングスのLGBTQ(性的マイノリティ)の人々が集まるナイトクラブで5人が死亡した11月19日の銃撃事件を受け、この事件に関するツイートの隣に同社の広告が表示されないようにするための安全措置として、広告を一時的に停止していた。銃乱射事件や飛行機事故といった惨事を受けて広告主がニュース・情報提供会社への広告を停止することはよくある。おそらく、広告担当の上級幹部がまだTwitterにいれば、そうした方針をマスクに知らせることができたかもしれない。
数日後、マスクはAppleのCEOティム・クックと「良い会話をした」と述べた。Appleは今年すでに1億8000万ドル(約247億円)超をツイッターでの広告に費やしたと報じられている。
さらに米Ad Age(アドバタイジング・エイジ)は、Twitterの広告技術を担当していた計測・分析チームの従業員が大量退職したと報じた。このチームの業務の1つは、ブランドキャンペーンの効果や、広告主のメッセージが不快あるいは恥ずかしいコンテンツの近くに掲載されないようにするためのツールの使用の効果を測定することだった。広告営業と密接に連携していたオーディエンスインサイト部門は人員を70%削減されたと報じられている。