エア・インディアは39ページにわたる徹底的なハンドブックで客室乗務員に厳しい身だしなみ規則を守るよう要求している。その中には白髪の禁止(定期的に自然な色に染めなければならない)が含まれている。また、髪の生え際が後退していたり、禿げかかっていたりする男性乗務員は清潔感を保つために頭を剃らなければならない。
これはほんの一部に過ぎない。クルーカットは許されない。ヒゲも禁止だ(男性乗務員はヒゲを剃り、フライトのたびにシェービングキットを携帯しなければならない)。女性乗務員は頭の高い位置で髪を結んだり低い位置で団子状にまとめたりするのは禁止されている。真珠のイヤリングの着用もダメで、金やダイヤモンドのスタッドタイプのみが許されている。
さらに、機内で読んでいい本や、ソーシャルメディアに投稿できること(政治や会社に関することは禁止)についても縛りがある。
こうした規則は、新オーナーであるTata Group(タタ・グループ)が、非公開となったエア・インディアのイメージを一新しようとする試みの一部だ。同航空の新CEOキャンベル・ウィルソンは独自の厳しいイメージガイドラインで有名なシンガポール航空の出身だ。シンガポール航空の客室乗務員は1968年からずっと同じデザインの制服を着ており、髪型や口紅の色などに関する規則を遵守しなければならない。
エア・インディアの新規則は、世界中の多くの航空会社がドレスコードを緩和している中で導入された。英ヴァージン・アトランティック航空では、スタッフがタトゥーを見せることを認めている(同航空の最高人材責任者エステル・ホリングワースは「ヴァージン・アトランティック航空では、誰もが自分らしくあり、自分が属するところを知って欲しい」とウォールストリートジャーナルに語った)。
韓国のAero K(エアロK航空)はスニーカーとTシャツという性別に関係ないカジュアルな制服を導入した。そして米アラスカ航空は「個人とジェンダーの表現における自由と柔軟性を提供するため」制服のガイドラインを更新し、誰でもマニキュアを塗ったりタトゥーを入れたりできるようにした。目的は、従業員が「最高の自分、本当の自分を職場で出せるようにする」ことだ。
しかしエア・インディアでは自分自身でいるどころではない。印ヒンドゥスタン・タイムズによると、新しいガイドラインはあまり評判が良くないようだ。エア・インディアの関係者は同紙に「航空会社のイメージを高めるために規則が必要だと考える人もいるが、少しやりすぎだととらえている人もいる」と語った。
(forbes.com 原文)