私見ではあるが、スリムは米国最高の事業開発専門家といっても過言ではない。本書は、買って手の届くところに置いておくべき1冊だ。また、Audible(オーディブル)でオーディオブックを入手して聴くこともできる。
スリムの本は、未開拓の市場を切り拓き、目の前にいたのにつながれていなかった新たな顧客を見つけ出すための、有効な戦略を詳述したものだ。まだ存在を知らない、出会っていない顧客とつながることで、ビジネスをかつてないほどに成長させる方法について説明している。
スリムは、未知の顧客に出会うには、彼らが集まる「水飲み場」を見つけることが重要だと説く。紹介に頼って見込み客を探すだけでは弱い。スリムが薦めるのは、もっと積極的な戦略だ。
筆者がスリムと出会ったのは2022年5月。イリノイ州シカゴで開催された「ビルド・ア・ベター・エージェンシー・サミット」で、広告やデジタルマーケティング、PRエージェンシーのオーナーら250人を前に、同氏が講演を行った際のことだ。そして先ごろ、スリムにZoomインタビューを行った。
スリムは、「ビジネスオーナーの戦略的かつ迅速な成長にとって、エコシステムというレンズを通してマーケティングを見ることほど役立つものはない。それは、サービスや製品、組織、イベント、メディアなどで構成されたエコシステムであり、自社の価値観に合致した理想の顧客に対して、問題解決のためのリソースを提供するものだ」と述べている。「理想の顧客は、そのようなエコシステムの中心にいる」
『The Widest Net』には、そのロードマップとして具体的な事例が豊富に紹介されている。