研究者らは「私たちの調査結果では、地理的な近さにとどまらず、より地元意識を持ったCEOが率いる会社は(職場環境の劣悪さを理由とした)行政上のコメントを受けづらいことが示された」と説明した。
研究者らは、職場に近い場所にいることで、経営者は従業員の福祉をより大事に考えるようになるのではないかと考えている。上司が従業員と同じ地域に住めば職場外でばったり会う可能性が高くなり、社会的絆を築ける機会が増えるのだ。
研究者らは「住む場所が勤務環境に影響を与える一つの重要な経路として、CEOと従業員の間の一連の社会的関わりが記録された。つまり、CEOと従業員が近い場所に住んでいるときや子どもが同じ学校に通っているとき、会社の労働環境は改善する」と説明している。
これは企業自体の生産性、そして利益性に波及効果をもたらす。企業文化がより良好な会社では、生産性が約4%高いのだ。
ハイブリッド型の職場
新型コロナウイルス感染症の流行により、職場の意味や、効果的に働くには職場にいる必要があるのかどうかを考え直すことが強いられた。研究者らは遠隔勤務のメリットを受け入れているが、互いに物理的に近い距離に住み働くことのメリットは、研究結果で明確に示されていると感じている。
多くのものと同様、遠隔勤務によるさまざまなメリットと近くに住むことの文化的メリットの間の妥協は避けられないだろう。とはいえ、ロックダウン(都市封鎖)の間は職場の文化構築の課題がよく言及されたことを考えれば、おそらくこれは検討すべきものだろう。
これは同時に、従業員の福祉と株主利益の間に明確なつながりがあることをタイミングよく思い出させてくれるものだ。従業員の福祉に時間や金を費やすことはコストではなく、投資として考えられるべきだという事実が改めて強調されるとよいだろう。
(forbes.com 原文)