子どもを家に置いておかねばならない人が増えると、仕事のパフォーマンスには無視できない悪影響が生じる。
在宅勤務が可能な人は理論的には勤務しながら子どもの看病ができるが、そうした働き方は生産的ではない。例えばコロナ流行中、1週間にわたり子どもの面倒を見ながら働いた人は、8時間分の労働時間を失っていた。親が仕事を精力的にこなすためには、手頃な料金の育児支援サービスが必要だ。
米国では今、インフルとコロナに加え、RSウイルスの感染も異例の広がりを見せている。現実として、病気になる子どもが増えることで生じる負担は、女性が受けることになる。労働統計局の発表には欠勤に関する男女別のデータは含まれていないが、コロナ流行中に生じた育児の負担は女性に偏っていたことが分かっている。現在も同様の状況にあることは、容易に想像できる。
育児支援を標準の福利厚生に
ビジネスリーダーは、従業員が仕事に打ち込むためには育児支援が必要であることを認識しているが、それでも実際の福利厚生や制度の内容が不十分な企業は多い。育児は昔から女性が無給で担ってきたため、こうした取り組みが欠けていたのも当然のことだ。しかし時代は変わっており、企業はそれについていく必要がある。
企業側は、病欠制度を変更したり、育児支援関連の福利厚生を導入したりすることで、子を持つ従業員の負担を軽減できる。
さらに、政府が企業の育児支援提供にインセンティブをもうければ、状況は一変する可能性がある。米シンクタンクのバイパーティザン・ポリシー・センターは最近、雇用主が提供する児童手当税額控除(45F)に関する状況を分析した報告書を発表した。この制度は、企業が社内に保育所を整備したり、外部の保育サービスと契約したりする費用を税額から控除できるものだ。
ところがレポートによると、さまざまな理由によってこの制度の利用率は非常に低く、中小企業は経済面での障壁によって本制度を利用できずにいるという。
企業は、子を持つ従業員同士が互いを支援できるネットワークをつくったり、フレキシブルな勤務形態や育児手当を導入したりするなど、家族を持つ人々が働き続けられる施策をよりクリエイティブに考え始める必要がある。
(forbes.com 原文)