冬山の冒険者が都会を制す 「モンクレール」70年の軌跡




その「モンクレール」に大きな転機が訪れたのは80年代のことだった。アルピニストやスキーヤーなど、プロのアスリートから愛用されていた「モンクレール」のファッション性にジャーナリストたちが気づき始めたのだ。機能的なキルティングステッチ、ナイロンラケ素材のあざやかな色を特徴とした山用のガーメントが、パッと目を引くタウンウェアとして広く受け入れられ、街にはカラフルなダウンジャケットを着る人々があふれた。80年代の好景気を象徴するシーンとしてご記憶の方も多いだろう。

その後、2000年代に入ってからの「モンクレール」は、従来の機能性によりファッション性を加えたハイファッションブランドとしてパリやNYでコレクションを展開。 多くのファッションデザイナーやクリエイターとのコラボレーションによる作品を発表しながら、おなじみのダウンジャケットをあらゆる季節・場所・時間に通用する「グローバル・ダウン・ジャケット」として地位を確立させている。

つまり、「モンクレール」におけるダウンジャケットの70年は、雪山での防寒着という冒険者のためのツールから、ロケーションや時期、気象などを不問とするファッションアイテムへの解放の軌跡でもあったと いうわけだ。そしていまこの瞬間もゴール ではなく、通過点に過ぎない。「モンクレール」のダウンジャケットは新たな冒険者とともに進化し続けている。


創業70周年を記念してリリースされる「MONCLER MAYA 70 JACKET」。白や黒などベーシック色のほかシルバーやフレッシュパステル、深いアースカラーなど、アウトドアライフから着想を得た11色の特別なカラーバリエも魅力。各25万4100円(シルバーのみ32万2300円)。

編集・文=Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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