いま、東京をはじめ、パリでもNYでも、都会の冬の装いとして定着しているダウンジャケット。なかでも品質のよさとブランドイメージにおいて他の追随を許さない「モンクレール」は、カジュアルなシーンのみならずスーツやドレスの上にも羽織れるファッショナブルでラグジュアリーなダウンジャケットで人気を博している。
この「モンクレール」が今年創業70周年を迎えたことを機に、定番のダウンジャケット「MAYA」をアップデートし、フレッシュなパステルやメタリックシルバーを含む11色ものカラーバリエーションで展開するという。現代のファッションを象徴するかのような「モンクレール」に70年もの歴史があったことに少々驚くが、その年月はそのまま冒険者たちの軌跡とも呼べるような刺激的な日々でもあった。
登山具メーカーとして誕生
「モンクレール」は1952年にアルプスの麓に位置するフランス・グルノーブル郊外の小さな村で創業された。当初はキルティングの寝袋や、フードがついたケープ、折りたたみ式テントなどを生産しており、なかでも頑丈で機能的なテントは当時フランスで施行された長期休暇制度(バカンス)ともタイミングが合い、大ヒット。その後も登山グッズのメーカーとしてその名を広く知られるようになった。
最初のダウンジャケットが誕生したのは54年。雪山の工場で働く従業員のために寝袋を改良した防寒具を製造したところ、そのジャケットが著名なアルピニストの目に留まり、高山用の装備として開発を依頼されたのがきっかけだという。
そして誕生した「モンクレール」のダウンジャケットは、世界で2番目の高さを誇る山、カラコルムに挑むイタリア登頂隊に採用(のち見事に登頂)されたことから「カラコルム」と命名。さまざまな技術革新を経ながらも2008年まで生産されていた。今回発表された「MONCLER MAYA 70 JACKET」の原モデルが発表されたのが09年だというから、まさにこれは「モンクレール」の系譜を引き継ぐアイコニックなモデルだと言えるだろう。