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2022.11.14 14:00

謎多きエディアカラ動物群が地球最初の大量絶滅で生き延びられなかった理由

トリブラキディウムはエディアカラ動物群の中で最も謎に満ちた生物だ(Masahiro miyasaka)


エディアカラ動物群のいかなる種にも、外部器官たとえばエラや口があったという証拠はない。酸素や栄養素を体表面を通じて直接水から吸収していた可能性が高い。しかしこの順応のために、彼らは低い酸素濃度に対して脆弱になった。
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「環境の変化、たとえば地球温暖化や脱酸素現象は、動物の大量絶滅やエコシステムの大規模な崩壊や再編成につながることがあります」と論文の共著者で地球科学科教授のシューハイ・シャオは述べた。「これは、化石記録に残された最初の絶滅に関するこの研究を含め、地球史の研究の中で繰り返し証明されてきたことです。この研究は、生物圏における現在の環境変化による長期的影響についても知見を与えています」

地球の酸素減少の正確な原因は何か? それはまだ議論の対象だ。「つまりは、どうやってこれが起きたのかは誰も知りません」とエバンスはいう。「火山噴火や地殻変動によるプレート移動、小惑星の衝突などさまざまな原因のあらゆる組み合わせが考えられますが、現在わかっているのは、絶滅した動物たちは地球の酸素減少に反応したらしいということです」

エバンスとシャオによるこの研究は、思っていた以上にタイムリーだった。これとは独立した研究で、バージニア工科大学の研究チームが、酸素の欠乏が世界の淡水に影響を与えていることを最近発見したのだ。原因は何か? 気候変動と土地利用による過剰な汚染物質の流出がもたらした水温上昇だ。水温の上昇は淡水が酸素を保持する能力を減少させ、淡水微生物が酸素を食べ尽くすことで水中の栄養素が分解される。
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「地球のその他すべての大量絶滅と同じく、最初の動物大量絶滅は大規模な気候変動によって起きたことを私たちの研究が示しています。これは現在の気候危機が動物の生態に及ぼす危険を知らせる数多くの教訓に新たな項目を加えるものです」とエバンスは締めくくった。

論文『Environmental drivers of the first major animal extinction across the Ediacaran White Sea-Nama transition』はProceedings of the National Academy of Sciences (2022)に掲載されている。資料はバージニア工科大学から提供された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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