有能な人材が「アフターコロナの職場環境」に求める5つの要素

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プロフェッショナル向けのソーシャルネットワーク・プラットフォーム、リンクトインは10月26日、最新版の「Global Talent Trends Report」を発表した。このリポートからは、リンクトインのデータから見た、変わり続ける仕事の世界に関する知見を得ることができる。

ここから導き出される今後の見通しは、求職者にとってはあまり明るいものではない。

調査を行った14カ国で、新規従業員を雇い入れる割合はこの1年間で減少している。米国では、1年前の2021年9月と比べて13%ダウンとなった。加えて、労働者たちが景気後退を予感していることも明らかになった。米国では、自身の経済状況を今後改善できるかどうかという問いに、自信がないと答える従業員や求職者の割合が増えている。

求職者が優先とする条件としては、今回のリポートでも当然ながら「報酬と福利厚生」がトップに挙げられている。しかしながら、コロナ禍でにわかにクローズアップされたいくつかの条件も、非常に重視されていることがわかった。具体的には、「ワークライフバランス」「柔軟な働き方」「スキルアップ」の3項目だ。加えて、求人市場が不確実性を増すなかで、現在の会社での「キャリアアップの可能性」が、優先事項のトップ5入りを果たした。

これらトップ5の項目は、現在のチームを維持しつつ、有能な人材を新たに獲得したいと考える雇用主が留意しておきたいポイントでもある。それぞれについて以下に解説しよう。

1. 報酬


手厚い報酬と福利厚生は、求職者が最大の価値を置く条件だ。今回のリポートで、リンクトインのグローバル人材獲得担当バイスプレジテント、ジェニファー・シャプリー(Jennifer Shappley)は、こう指摘している。「人々は、日々の生活のなかで経済の不安定な状況を実感し、報道でも頻繁に目にしていることから、安定を求めている。ゆえに、求職者が案件を評価する際に、何よりも報酬を重視するのは納得できる話だ」

2. ワークライフバランス


2021年に続いて、求職者は、仕事とプライベートのバランスを取るための企業側のサポートを重視する傾向がみられると、今回のリポートは指摘している。コロナ禍をきっかけとして、従業員は、自身の優先順位や、雇用主との関係を再考するようになった。その結果、求職者は引き続き、ワークライフバランスを優先し、身体的・精神的健康を重視してくれる雇用主のもとで働きたいと考えている。

では、人材獲得の責任者はどうすればよいのだろう? シャプリーは、自社の価値観や、従業員の支援体制について、求職者と話す準備をするようにとアドバイスする。

「これは、単なる採用戦略にとどまらない。社内で最も優秀な人材を引き留める上でもカギを握る要素だ。トップレベルの人材を引き寄せ、長く在籍してもらえるような採用・引き留め戦略を構築するためには、やる気の源を理解し、従業員の声に耳を傾けることが、かつてないほど重要になっている」
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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