たとえば味の素AGFは、粉末飲料「フレンディ ザリットル」シリーズを販売する際に、「生活者からのバイアスのかかっていない不満データ」の解析、可視化、数値化を通じて生活者実態を把握し、プロモーションに役立てているとのこと。
「不満買取センター」には、外食、出前、お弁当に関する不満が年間64万件投稿されているが、なかでもコロナ前後で大きく件数がふえたのが「出前」に関するものだった。そこでInsight Techは、2021年9月から2022年8月に寄せられた「出前」への不満をデータ解析してレポートを発表した。そのなかで、調査期間を前後半に分けた場合に前半から後半にかけて大きく順位を上げたトレンドキーワードが報告されているが、1位から「メニュー」、「チーズ」、「具」、「量」となっている。
「メニュー」への不満は、見づらく選びにくいというものが多い一方で、もっと消化によさそうな家庭料理のようなものが欲しいといった要望も見られた。コロナ禍で出前を利用する人が増え、特別な外食の代わりとしてではなく、日常のご飯として利用する人も増えてきたことが伺える。「具」や「量」も、料理内容にともなうものだ。しかし2位の「チーズ」って、なんだか唐突な感じがする。
じつはこれ、ピザのチーズのこと。1年を通した不満キーワードの上位には、「配達員」を筆頭に有名出前サービスのブランド名が並ぶなか、「ピザ」が食い込んできている。それだけピザの人気が高く、反面、不満も多いようで、なかでもチーズへの不満が多い。
配達されたピザのチーズが固くなっている、テレビCMのように伸びない、温め直してもトロッとしてくれない、レンジで温める目安がわからないといった意見がレポートでは示されている。遠くから運んでくるのだから仕方ないと諦め、ピザに罪はないと我慢して食べている人がほとんどだろうが、不満であることに変わりはない。こうしてデータで示されると、非常に多くの人があのチーズを残念に思っていたという事実がわかり、自分だけではなかったのだとホッとする。
もうひとつ調査レポートであげられている意見に、ピザの箱にチーズが付着してしまうことへの不満もあった。固まったチーズが箱から剥がせない、チーズで汚れてしまったピザの箱の捨て方に苦労する、リサイクルに出せないという悩みだ。ピザ好きには環境意識の高いが多いようで頼もしい。
Insight Techはこのレポートで、「生活者の不満には、ビジネスを進化させるためのヒントが隠れています」と話している。これを見たピザ屋さんが、とろーり熱々だけど箱にくっ付かないチーズのピザが配達できるよう頑張ってくれることを願う。