──特に注視、注力している領域は?
2017年から21年にかけ、「Power of Three(パワーオブスリー)」というグローバル戦略のもと、3つのことに注力してきました。22年から26年も「Power of Three × 2」として継続します。
まず、プロダクトイノベーション。特に売上が伸びているメンズにおいてさらに力を入れています。2つ目は、デジタルも含めた顧客体験。そして3つ目が、マーケットの拡大です。我々がカナダ発のブランドということもありますが、現在北米以外の売り上げは20%以下となっており、それを40%まで引き上げる目標です。

日本の期間店である六本木ストア2Fにあるスタジオ「THE SWEAT LIFE HUB」 (c)lululemon
現在、市場には2つのメガトレンドがあると見ています。ひとつは、ウェルビーイング。「身体的(フィジカル)」「精神的(メンタル)」「社会的(ソーシャル)」のすべてにおいて満たされた状態を指す言葉ですが、特にコロナを経て、安心して、健康に心地よく過ごしたいという欲求が高まっています。
もう一つは、人々がクオリティを重視するようになってきているということです。サステナビリティの浸透に伴い、ファストファッションのような大量生産・大量消費ではなく、持続可能な方向へ消費者の関心が移っています。そしてそのいずれもが、我々にとって追い風になっています。
──あえて課題をあげるとすると?
パンデミックの打撃は大きく、また、ロシアなどの地政学的な不安、インフレや円安といった経済不安など、課題は常に存在しています。しかし、私は、課題はチャンスを生み出すと考えています。
例えば、コロナがなければ、人々がここまでウェルビーイングに目を向けることはなかったでしょう。3年前と今では、価値観が大きく変わりました。2023年も24年も課題は出てくると思いますが、それをどう捉え、どう対応するか。その連続です。
現時点で大幅な値上げなどは行っていませんが、各国の動きを注視し、必要に応じて価格の見直しもあり得ます。ただ、我々が大切にしていることは、価格ではなく「価値」です。製品に対してどんな価値を見出してもらえるか、そこに向き合い続けていきます。
──2022年に、テニスやゴルフへとカテゴリーを拡充した狙いは?
ルルレモンはヨガウェアから始まり、トレーニングやランニングに拡大してきました。そして5年ほど前から、それらの製品をゴルフやテニス、ハイクなどのアクティビティに使っているという声を聞くようになりました。つまり、顧客がニーズを教えてくれた。潜在的にニーズがあったところに対して、それぞれ専用の製品を開発しました。
また、パンデミックを経て、年齢を問わずスポーツをする人が増えています。ゴルフは、年齢層が高め、あるいは経済的な余裕と紐づく印象もありますが、特にそういった層を狙ったわけではありません。