「森が豊かになれば海も豊かになります」。その言葉の真意を探る。
間伐材を活用することで日本の森を守っていく
東京都心で生まれ育ったサーファーだ。現在40歳。今では千葉の海沿いにも拠点を持ち、二拠点暮らしを送っている。
しかも35歳を過ぎた頃からサーフィン愛がいっそう強まり、愛用サーフボードのブランドを通して出会ったプロサーファーにパーソナルトレーニングを懇願。自身のサーフィンスキルを総点検し、パドリングの姿勢をはじめとして、それこそ一からすべてを修正していった。
その甲斐があってみるみる上達。年々サーフィンが楽しくなっていると笑みを見せる。続けて、40代のうちには東京の家を引き払って海のそばに暮らし、サーフィンライフをもっと謳歌したいと目をキラキラと輝かせた。
それでいて安藤豪太さんは、日々の仕事が“日本の森”と深く関係しているというから面白い。
安藤さんが勤める会社「フロンティアジャパン」は東京タワーの近くにオフィスを構える、フォトフレームや卓上時計などの木製商材を扱うメーカー。法人向けのノベルティグッズや一般消費者向けの商品製作と、森林保全に関するコンサルティングが主な事業となる。
こう書くと一般的な社業のように思えるが、国産の間伐材を積極的に活用しているところに最たる特徴はある。
間伐材とは、森林の密集具合に応じて樹木の一部を伐採する“間伐”という作業時に発生する木材のこと。良質なものは建築材に利用されるが、成長しきっていないなどの理由から、それ以外の目的に使われることも多い。
一例が同社の製品であり、間伐材を積極利用する背景には“日本の木材を使うことで日本の森を守る”という理念がある。
環境意識が高いという点で、今の時代に即した企業姿勢だといえよう。しかし話を聞くと“時代が追いついてきた”という捉え方が正しい。なにせ営業担当として入社した15年ほど前は、飛び込み営業の日々を送りながらも大半の企業で門前払いを食らっていたのだという。
「来る日も来る日も飛び込みで営業をしていましたが、環境問題をテーマに話をしても、まったく相手にされませんでした。むしろ木を切ってノベルティなど作ったら社のイメージはマイナスだという声も普通にあったくらいでしたから」
それが時を経て大手航空会社やラグジュアリーブランドから声がかかるようになった。SDGsというグローバルな潮流が後押ししたこともあり、時代は大きく変わったのだ。