ビジネス

2022.11.01 13:30

ダイソン社長、Rakuten、そして日本郵政へ 飯田恭久氏とは何者か

日本郵政グループJPデジタル社長 飯田恭久


しかし、そのまま受け入れているだけは、前に進みません。私は、日本郵政グループのトップである増田寛也社長に、グループ内に「JPデジタル」を作らせてくださいと、お願いしました。ガバナンスを担保しつつ、スピード感をもってDXを進めるのが、その狙いです。増田社長は、すぐに理解を示してくれ、創設に漕ぎつけました。
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グループ内に子会社を作れば、何でも解決するという上手い話はありませんが、日本郵政グループのような大きな組織では、ある程度意味があります。

例えば、階層型組織では先のパソコン一つを買うのにも厳格に決裁ライン(決裁できる金額)が決まっています。調達先の選定にしてもそうです。これは悪いことではなく、ガバナンスや職掌管理と紐づいていることなので、受け入れるしかないわけです。

「JPデジタル」を作った理由は、パソコン一つの調達に例を見るように、日々のスピード感を担保する仕組みをまず整備したかったのです。
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JPデジタルの創設にあたっては、非言語的な面も工夫しました。まず、最初にオフィスに選んだのは、意味を込めて「窓がない貸オフィス」にしました。

「窓がある広いオフィスに移るためにがんばる」。メンバーがスタートアップの感覚を持つための物理的な工夫です。おかげさまで、今は人数も増え、2022年7月から、現在の「窓のある広いオフィス」に引っ越しています。

また、随分とカジュアル化が進んだとはいえ、日本郵政グループ本体には勤務時のドレスコードがあります。JPデジタルでは、ドレスコードをさらに緩和し、いわゆるインターネット・ベンチャーのような服装でみんなが働いています。これもJPデジタルが、DX進める意気込みを周囲に伝えるための工夫です。

目指したのは「普通の民間企業のスピード感」


──2022年6月には、上場企業を中心に多くの顧客を持ち、DX・AI戦略立案からDX・AI人材の育成までサポートするAVILEN(アヴィレン)が、JPデジタルに事業連携することになりました。ここでの狙いは何でしょうか?

日本郵政グループには40万人のメンバーがいます。今は民営化されていますが、昔は郵政省という国の機関でした。全国民が利用者である社会インフラでもあります。一方、世の中の変化に対応していくためには、日本郵政グループ社内のマインドセットをアップデートしなければならないと私は感じていました。そして、DXを進めるにあたってのメッセージを、人材教育を通じて、しっかり伝える必要があると思ったわけです。
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取材・文=曽根康司 編集=石井節子

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