ビジネス

2022.10.24

「雑誌はもうダメ」の創刊から100号 社会や世界はどう変わったか

(左から)Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香と、リンクタイズ代表取締役CEO 兼 Forbes JAPAN Founderの高野真

新しい経済メディアとして、グローバルな視点でビジネスを切り拓く起業家の姿を描いてきたForbes JAPANは、2022年12月号(10月25日発売)で100号を迎える

世界47カ国で展開するグローバルビジネス誌「Forbes」の日本版として、2014年6月に新創刊。Forbes JAPANを立ち上げたのは、2014年に金融業界から出版に転じて、アトミックスメディア(現リンクタイズ)の代表取締役CEOに就任した高野真だ。

そんな高野に、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が、創刊時から現在に至る社会・世界の変化や、これからのForbes JAPANが描いていきたいことを聞いた。

部数を稼ごうとしないかわりに、いい記事を届ける


谷本:2014年6月のForbes JAPAN新創刊から100号を迎えました。創刊当時の思いを改めて聞かせてください。

高野:率直に言うと、100号は通過点にすぎないので特別な思いはないですね。だけど、創刊した2014年は「雑誌はもうダメだ」と言われ始めていた時期。「せいぜい2年持つかな」と思っていた人が多い中で、100号を通過できたのはとてもよかったです。



谷本:従来の経済メディアは、ビジネスの事象を切り取ってそのまま報じるというスナップショット型が多かったところが、Forbes JAPANは経済に寄与する新しい経済メディアになれたように思います。創刊に際して意識されたことはありますか。

高野:既存の雑誌のビジネスモデルはサステナブルではないと思っていました。そこで意識したことは、売ろうとしないこと。でも確実に「良いもの」を提供する、ということです。

部数を稼ごうとすると、ゴシップなどの読み手が読みやすいものにどうしても偏ってしまいます。読み手が何を読みたいかではなく、編集者やライターが何を届けたいのかにこだわるべきです。

ただ、そうすると雑誌は売れません。でも売れなくてもいい。どうせ売れないんだったら良いものを提供しましょう、ということです。

Forbes JAPANは起業家によく読まれていますが、そもそも起業家は“マス”ではないので大きな市場ではないんですよね。だけど、彼らに社会で起きている大切な情報を届けたいから、それを提供する。読んだ人に「こんなこと知らなかった! いい記事だ」と思ってもらえる、それが最も重要なことなんです。そうやって現在まで続けて来られました。
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聞き手=谷本有香 文=堤美佳子 編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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