5つのエリアのうち、まずはメインエリア「ジブリの大倉庫」、ジブリアニメ『耳をすませば』の「地球屋」が再現された「青春の丘」、サツキとメイの家やトトロ大型遊具がある「どんどこ森」が先行開業する。愛知県が約340億円を投じた一大事業。全面開業後には年間来場者数は約180万人、経済波及効果は年間約480億円が見込まれる。
約7.1ヘクタールの広大な土地で、まさに『となりのトトロ』のテーマ曲「さんぽ」の世界。「あるこう、あるこう」と口ずさみたくなる。筆者は2年前にも、建設が始まったばかりのジブリパークを歩いていた。ジブリの世界観はどのように表現されたのだろうか。新旧の写真を見比べながら、「ジブリの大倉庫」を中心に、その全貌をたどりたい。
リニモでジブリパークへ 玄関口はこう変わった
ジブリパークまでは、名古屋駅から地下鉄東山線とリニモを乗り継ぎ、1時間弱。リニモは日本で唯一の「磁気浮上式リニアモーターカー」。磁力で浮いた状態で走るため、電車のガタンゴトンという音や揺れを感じることはない。2005年の愛知万博(「愛・地球博」)を機にでき、当初は「夢の乗り物」と言われたが、いまでは地域の足となっている。初めて乗る人は多少驚きがあるかもしれない。
「愛・地球博記念公園」駅の改札から外に出ると、すぐにジブリパークとモリコロパークのエントランスが見える。
リニモ「愛・地球博記念公園」駅に到着。駅前にエントランスがあり、奥に新しいエレベーター塔がある
下の写真を見比べてほしい。2020年11月はこんな風景が見られた。公園の駐車場に入る車があったが、現在は車は通行できなくなっている。
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2020年11月に撮影した駅前 エントランスには車が走っている
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取材時はあいにく曇り。フラットになり、多くの人が歩けるように整備されている
「青春の丘」や「ジブリの大倉庫」のエリアにつながるエレベーター塔も新しく生まれ変わった。かつては鮮やかな緑色だったが、いまは茶色に。『天空の城ラピュタ』の世界のモデルとなった、19世紀末の空想科学世界をもとにデザインされている。3つのエリアの施設内に入るにはチケットが必要だが、公園内は自由に散策できる。このエレベーターも自由に乗ることができ、一気にジブリの世界観にタイムスリップできる。
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かつてのエレベーター 当時も特徴的な形だった
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新しいエレベーター塔
エレベーターを降りると、パーク感が増す。ジブリの大倉庫へと繋がる道がある
街灯にあしらわれたイラスト 細部にスタジオジブリらしさが込められている
ジブリの大倉庫の建物 左手前に出口、左奥に入口がある
まず、メインエリア「ジブリの大倉庫」に行ってみた。ここは元々あった温水プールが改装され、下の写真を見比べると分かるように建物はそのまま生かされている。右手にはいまもアイススケート場があり、使われている。日常の隣にジブリの世界がそっと佇んでいる。
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2020年、11月撮影。入口に「温水プール・アイススケート場」と書いてある
温水プールをリノベーションし、「ジブリの大倉庫」に生まれ変わった
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アイススケート場の入口はそのまま残されている