経済効果480億円、「ジブリパーク」の全貌はいかに? 空想とリアルが交錯


ここで「ジブリの大倉庫」の中身をご紹介したい。2年前、温水プールの工事現場を外から覗いていた時は勝手ながら疑心暗鬼だった。ここに本当に楽しめる施設が作られるのだろうか、と。元々、大倉庫は「ジブリ作品の保管や保存、展示と遊びと憩いが共存する空間に」という構想だったが、あまりイメージが湧かなかったのもあった。倉庫内に足を踏み入れると、いい意味で期待が裏切られた。結論から言えば、大倉庫内の見どころは溢れている。

ジブリの大倉庫
「ジブリの大倉庫」入口 元プールだが、確かに倉庫感がある

ジブリの大倉庫内へ

ジブリの大倉庫
「いらっしゃいませ」の灯りは、ついたり消えたり。

ジブリの大倉庫
窓際や高い天井など、元温水プールの独特な建物が生かされている

ジブリの大倉庫
正面階段 地場のタイルがふんだんに使われている

大人も子どもになれる世界

ジブリの大倉庫
猫バスの黄色の建物は「子どもの街」

ジブリの大倉庫
スタジオジブリがある東京・小金井市周辺の少し昔の街並みや乗り物がモチーフ 子どもたちが思いっきり遊び回れる空間だ

ジブリの大倉庫
「こどもの街」を出ると、隣は「南街」。実際に買える書店や模型屋、駄菓子屋があり、大人も子どもになれるような空間


「大人」と書かれた提灯 どこか懐かしい場所


タイルで描かれた猫


実際の消火器もスタジオジブリの手にかかれば立派な展示物に


南街自治会の掲示板。実際のポスター(右)とニセのポスターが混在し、楽しませてくれる

大倉庫内全体に特に決まった順路はない。(企画展示内は順路あり)ぐるぐる歩いているうちに、次々といろんな世界観と出会えるのも魅力のひとつだ。私はふと階段を降りると、出会った世界にどっぷり浸かってしまった。「小人の庭」と題した、小さなアリエッティの暮らす世界だ。


草花は2階の高さまで伸び、空き缶やビンが落ちている。アリエッティたち小人から見たらきっと人間の世界はこんな感じなのだろう。世界の見方が突然変わってしまうような展示だった。子どもや自然の目線を大切にするジブリが、大人にくれたプレゼントかもしれない。勝手にそんなことを思った。


「小人の庭」 背丈の2倍以上ありそうな草花の展示にすっかり魅了された

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アリエッティなど小人たちが暮らす「床下の家」 彼らからはこうやって世界が見えているのかとアニメの世界を体感できる


アリエッティが摘んだであろう草花で彩られている

思わぬ再会 ジブリ飯も


大倉庫内にひっそりとある「大倉庫見学路」も見落とせない。まさにスタジオジブリのこれまでの制作物の倉庫なのだが、段ボールの合間に置かれている大きな展示物に思わず笑ってしまった。4年前に金沢21世紀美術館の「スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法展」にいた、大きな猫を見つけたのだ。おそらくこれまでも倉庫に眠っていたのだろう。こんなところにいたのね......。

ジブリの大倉庫
大倉庫見学路 奥には暗がりが広がり、人がいなかったため一瞬入るのをためらった


過去の展示で見たことがある大きな猫を発見


奥でにやっと笑うネコバスの姿が。国内外の展覧会で展示したものが保管されている

ファンの間でジブリ飯が期待されたが、ジブリの大倉庫では『風立ちぬ』に出てくる「シベリア」が食べられる。カステラの間にあんこが挟まれており、つぶあんとこしあんが選べる。小倉トーストが人気な愛知らしいジブリ飯だ。


ミルクスタンド「シベリ・あん」で提供されるお菓子「シベリア」とオリジナルデザインの瓶牛乳


カフェ「大陸横断飛行」


長距離飛行のパイロットが操縦しながら片手でとる食事をイメージ サンドイッチやピザが食べられる


「にせの館長室」にいる湯婆婆 大きな目でこちらを見られたら怖くて固まってしまうだろう

ジブリの大倉庫の展示を存分に楽しんだ後は、ジブリパーク土産が買えるショップ「冒険飛行団」へ。「子どもの街」にいたネコバスのぬいぐるみや、大倉庫や湯婆婆などの刺繍があしらわれたハンカチ、オリジナルのお菓子など、ラインナップは多岐に渡る。

ここには紹介しきれなかったが、大倉庫内では「ジブリのなりきり名場面展」など3つの企画展示が開かれており、『千と千尋の神隠し』などジブリ作品の登場人物になりきって写真が撮られるスポットなど、まだまだ見どころがたくさんある。映像展示室「オリヲン座」では、三鷹の森ジブリ美術館だけで上映されているスタジオジブリ制作の短編アニメーション全10作品を順次上映する。

ひとりで取材をしていた私でも、気づけばジブリの大倉庫内だけで2時間半以上が経っていた。ファンタジーの世界だけど、どこか懐かしい。ジブリアニメの世界を全身で体感するのは新しい体験だった。

チケットはエリアごとに日時指定の予約が必要で、一日の定員は最大で5000人前後。ジブリパークは「ゆっくりきて下さい」と呼びかけている。


ジブリグッズが買える大倉庫内のショップ「冒険飛行団」


ジブリパークオリジナルグッズも数多く販売されている


トトロの刺繍があしらわれた巾着 これもジブリパークオリジナル


ジブリの大倉庫内にある「トトロ・バー」 ぜひ探してみてください

文=督あかり

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