幸運にも同じ頃、ボギスの父親は2002年にトンガを襲ったサイクロンの援助プロジェクトの一環として、トンガのヴァヴァウにバニラ農園を設立した。その様子を目の当たりにして、ボギスは興味を抱くようになった。そして、夫とともに訪れたトンガの人々と島々に惚れ込んだ。その後、自分たちだけでなくトンガの地域社会にも貢献できるバニラブランドをつくることで父が始めたことを発展させようと決心した。「目の前に目的を見つけた。それは、トンガの農村の生産者コミュニティに力を与え、影響を与えることだった」とボギスは話す。
「毎日、新たな難題に直面し、ここまでの道のりは大変なものだった」とボギスはいう。しかし、世界有数のレストランや一般家庭で自社製品が使われているのを見ると大きなやりがいを感じるという。そして何より、南太平洋の村々に経済的な支援や自分の会社がなければ得られないような機会を提供し続けられることがボギスにとって最大の報酬だ。
新型コロナウイルス感染症の大流行には特に苦慮した。世界中のレストランが閉まり、Heilalaは72時間で売上の3分の1を失った。しかしビジネスはすぐに適応し、その後2年間は成長することができた。人々は外出できなくなり、家で調理するしかなかったからだ。また、Heilalaはバニラビーンズの香りのするハンドソープ、食器洗い用洗剤、表面用スプレーなど製品を多様化した。
さらに、ボギスをはじめとする経営陣は今こそBコーポレーション認証を取得するチャンスだと気づいた。その結果、Heilalaは教室用品、スポーツ用品、学費援助などバニラ栽培地域に対する支援を継続した。しかし残念なことに、トンガは最近も津波に襲われ、国土のいたるところに被害が及んだ。この自然災害への対応として、Heilala Vanillaは危機の余波を受けた地域社会を支援するために10万ドル(約1470万円)以上の資金を集めた。
自分のキャリアと人生の目的を一致させたいと考えている人たちにボギスはこういう。「キャリアでうまくいっていないことに正面から向き合う勇気を持ち、積極的に変化するためのステップを踏み出すこと。私は会計士として安全で安定したキャリアを歩んできたが、表計算ソフトや予測を見るだけではもう満足できなかった。朝、ベッドから出るのが楽しみになるようなことを見つけて欲しい。高いハードルや厳しい状況は常に存在するが、自分を支える強い目的意識がある限り、前進し続けられる」
(forbes.com 原文)