ビジネス

2022.10.14 10:30

「メイドインアメリカ」を「不公平の産物」にしてはならない


この危険な派遣労働の影響を不当に受けているのは黒人労働者だ。製造業・倉庫業の労働者全体に黒人労働者が占める割合は15.5%であるにもかかわらず、派遣労働者だけをみるとその33%が黒人労働者で占められている。

理論上、派遣社員は会社の従業員ではないので、会社はあたかも派遣社員が存在しないかのように振る舞う。だがこうした派遣社員たちが利益をもたらす製品を作り続けているのだ。雇用主は、自社製品が製造されているあらゆる場所で起きている虐待行為に対して責任を持つ必要がる。

米国の製造業における「底辺への競争」は、現代自動車のような民間企業が、公平性や良い仕事の要件なしに政府機関への自動車供給契約を勝ち取る、政府調達プロセスにおいて文字どおり顕著だ。良い仕事と公平で安全な職場の確保を奨励するために、公共機関に対して入札プロセスの一環として、より積極的なアプローチをとるよう要請する必要がある。この常識的な行動を「purchasing for the common good(公益のための購買)」と呼ぶ者もいる。

このためには単純に、クリーンテクノロジーを購入または助成する公的機関に、家族を養える賃金や福利厚生など、高い水準の雇用を約束した企業に特別なポイントを付与することを要求すれば良い。「U.S. Employment Plan」(米国雇用計画)は、政府の購買に公平性を取り入れるための枠組みを提供し、いくつかの主要な公共機関で利用されている。米国人たちの価値観を公的な判断に取り入れさせて、納税者の投資に対して真のリターンを提供するよう企業に要求する必要がある。

幸いなことに「メイドインアメリカ」のあるべき姿の基準を示している企業がある。米国の団体Jobs to Move Americaは、世界的な大手電気自動車メーカーであるBYD、Proterra(プロテラ)、そして最近ではNew Flyer of America(ニューフライヤーオブアメリカ)と地域利益協定(CBA)をとり結んでいる。たとえば、BYDでは、CBAの結果、電気自動車製造における初のトレーニングプログラムが生まれた。プログラム参加者はBYDで成功する方法を教わるだけでなく、このスキルを他のEV企業でも使うことができる。BYDはテスラのライバルだが、EV市場で競争力を保ちながら、正しい方法で物事を進められることを証明している。

米国の製造業の再建は、昨今頻発する危機への耐性を高めるだけでなく、従来の教育を修了することが困難な人々に高収入の仕事を提供する可能性も秘めている。しかし、製造業は正しい方法で物事を進めなければならない。さもなければ「メイドインアメリカ」は「不公平の産物」という意味になりかねない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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