会社存続を確実にするための後継者育成、その5つのフェーズ

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ずっと以前のことだが、私は、マクドナルド創業家のレイ・クロックや、『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術』(世界文化社)の著者マイケル・E・ガーバーといったメンターに教わったことがある。

企業を立ち上げて成功させるのは、「利益を生み出すマシン」を作るようなものだ、と。そして、こうした「お金を稼げるマシン」が自分なしでもうまく動いていくようになってようやく、価値あるアセットを作り上げたと言うことができる。

私は、クライアントが継続的に増えていることに対して、喜びと感謝の念を日々忘れないようにしているが、ビジネスとは、企業を立ち上げて、高額報酬を払ってくれる固定客が集まるようになっただけでは不十分だ。絶対に必要なことは、自分がビジネスから手を引くことになったときに、その利益を生み出すマシンを誰が動かしていくのかを考え、事前に準備しておくことだ。

あなたは船の船長だ。ならば、自分の身に何かが起きたときに備えて、その船の操縦を引き継げる一等航海士や二等航海士を指名しなければならない。

「残念なことに、自分が舵を取るビジネスの先を見据え、その準備を整えているリーダーは非常に少ない」。そう話すのは、戦略的な後継者育成計画の専門家ダニエル・フェイマン(Daniel Feiman)だ。

フェイマンは数十年にわたり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校社会人教育部門の非常勤講師、ならびに、南カリフォルニアにある企業ビルド・イット・バックワーズ(Build It Backwards)のマネージングディレクターを務めてきた。また、『THE Book on...BUSINESS From A to Z(ビジネスのすべて)』など3冊のビジネス書の著者でもある。

経営する企業の将来に備えた事業承継計画を立てていないとしたら、それは、目先ばかりを見て、投資家や従業員、販売業者や納入業者といったステークホルダーに配慮していないということだ。

大きな成功を収めた組織は、未来を見据えて後継者を育成する計画を立てていると、フェイマンは話す。その計画は、5つのフェーズ(段階)からなっている。

「各フェーズでは、それぞれに適した方法で目標を確立し、それを評価・測定し、達成する。そうして次のフェーズへの土台を作り、つなげていく」。フェイマンは電話インタビューでそう説明した。

後継者育成のプロセスを計画したロードマップは、然るべきツールと手助けがあれば、すぐに完成する。しかし、そのロードマップをいざ実践するとなると、時間が必要だ。フェイマンによれば、未来に向けた投資は、その先長きにわたって事業が着実に成長し改善されるというかたちで実を結ぶと話す。

では、5つのフェーズを紹介していこう。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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