iPhoneの性能低下
AppleがiPhoneの旧機種の動作速度を意図的に落としていたとされる「物理的陳腐化」が、2017年末から2018年初めにかけて大きな話題となった。
2017年12月、Appleは旧機種の性能が低下するよう「iOS」のソフトウエアに手を加えていたことを認めている。
この問題に関して世界中で集団訴訟が起こっており、米国では2020年3月に約548億円の支払いに合意した。
増え続ける電子ゴミ
計画的陳腐化によって技術の発展は加速したが、その裏で発生している大量の電子ゴミが問題となっている。
電子ゴミは5年間で21%も増加しており、日本を含む多くの先進国はその一部を発展途上国に輸出しているため、現地の人々は安全に処理できず有害物質に苦しめられているのだ。
また、電子ゴミには貴重な金属が含まれているが、2019年にリサイクルされた電子ゴミはたったの17.4%しかない。
トレンドのない時代へ
計画的陳腐化は依然として多くの業界で用いられているが、近年は「良いものを長く使ったほうが得だ」とする意識が高まっており、トレンドのない時代が来ようとしている。
激しく移り変わる流行に振り回されず、本当に気に入ったものだけを買うようにすることで、環境負荷が抑えられる。
トレンドを追う必要がなくなり、大好きなものに囲まれれば精神的にも豊かになるだろう。
私たちにできることは、計画的陳腐化という手法があることを知り、商品を買うときや壊れたときに少し疑ってみることだ。
トレンドを意識せず、品質が高い商品や修理サービスが手厚い商品を選ぶことで、捨てない暮らしをしていこう。
【参考文献】
・マーケティング戦略におけるネガティブな側面と問題点 : 負のマーケティング論研究序説利用
https://nufs-nuas.repo.nii.ac.jp/
・Forbes
https://forbesjapan.com/articles/detail/19132
・AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3341044
・国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202108_07.pdf
※この記事は、2022年5月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。