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2022.09.26

衛星インターネット「スターリンク」がイランでも利用可能に

イーロン・マスク / Getty Images

イランでは、頭部を覆うヒジャブを適切に着用していなかったことを理由に警察に拘束された22歳の女性が死亡したことを受け、各地で抗議デモが続いている。こうした中、イラン政府はインターネットやSNSへのアクセスを制限し、デモ隊の活動を抑え込もうとしている。

これに対し米国政府は、イランに対するインターネット規制を緩和する方針を示し、ブリンケン国務長官は9月23日、「イラン政府の検閲に対抗するためのデジタル通信へのアクセス」 を支援するとツイッターで述べた。

イーロン・マスクは、このツイートに対し「スターリンクを起動する」とリプライした。米財務省はこれまで、サイバー攻撃への関与を理由に、イランに対する米国企業のインターネットサービスの提供を禁じてきたが、今回の新たなライセンスで、スターリンクのようなインターネットサービスプロバイダに対する対イラン制裁を免除した。

イラン政府はソーシャルメディアや一部のコンテンツへのアクセスを厳しく制限しており、数百万人の人々がワッツアップやインスタグラムを利用できなくなっている。それにも関わらず、現地のSNSではデモの拡大を示す動画が公開され、これまでに8人が死亡したと報告されている。

マスクはまた、今年2月にロシア軍によって通信キャリアのタワーが破壊されたウクライナにも、スターリンクの衛星通信サービスを提供している。今回のイランへのサービスの拡大は、年内に同サービスを世界中で利用可能にするためのテストケースにもなり得る。

イランの当局は22日、ほぼ全てのインターネットアクセスを遮断した。これは、頭髪を覆うヒジャブを適切に着けていなかったとして拘束された22歳の女性、マシャ・アミニが16日に死亡したことを受けて発生した抗議デモが全国に拡大したのを受けての措置だった。

イラン政府は何年も前からインターネットを取り締まっており、最近では5月の抗議デモの後や、2019年のガス料金値上げをめぐる抗議デモの際にも、反政府的な情報がネット上で広まるのを抑えようと、同様な動きに出ていた。

イランはまた、同国の核開発計画の拡大に対する欧米の制裁を受けて、経済危機にも直面している。バイデン大統領と欧州の指導者たちは、トランプ前大統領が2018年に破棄した、イランが核プログラムを抑制するのと引き換えにイランへの制裁を緩和する核合意を復活させる計画を発表している。大統領は、先日の国連サミットで「米国はイランに核兵器を持たせない」と発言した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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