イーロン・マスクが「石油も原発も必要」と言い出した理由

イーロン・マスク(Photo by Michael Gonzalez/Getty Images)

テスラのイーロン・マスクCEOは、ここ最近、化石燃料や原子力エネルギーなどの非再生可能資源に対する態度を改めているが、8月29日にノルウェーで開かれた会議でも、そのスタンスを明確にした。彼は、石油や天然ガスの使用を止めれば「文明は崩壊する」と主張し、それらの資源の採掘の継続を支持した。

マスクは、グリーンエネルギー源への移行には数十年が必要で、その間は化石燃料が必要だと述べた。

以前は、再生可能エネルギーの伝道者だったマスクは先週、原子力発電所に反対する環境保護主義者を“反人間的”と攻撃した。彼は、3月のBusiness Insiderのインタビューで、世界中の閉鎖された原子力発電所の再開を支持し、原発が「最も早くエネルギーを生産できる」施設だと述べ、リスクはないと主張していた。

ロシアのウクライナ侵攻により原油価格が高騰する中、マスクは石油とガスの即時の増産を呼びかけ、「持続可能なエネルギーソリューションは瞬時に対応できない」と述べた。

2015年に宇宙物理学者ニール・ドグラース・タイソンのポッドキャストに出演したマスクは、化石燃料の利用が「歴史上、最も愚かな実験だ」と述べ、世界が化石燃料の燃焼に対する解決策を見出すことができなければ、「経済や社会は終焉を迎えるだろう」と警告していた。

しかし、近年、彼は石油やガスに対するスタンスを軟化させており、2020年9月のニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューでは、「石油やガス業界を憎むのは少し悪い気がする」と述べていた。

さらに、昨年2月にジョー・ローガンのポッドキャストに出演した際にも、「われわれは長い間、化石燃料を燃やす必要がある」と述べ、「石油・ガス業界を悪者にすることには賛成しない」と付け加えた。その代わりに、彼はより多くの人々が自然エネルギーに切り替えることを奨励するために、炭素税の導入を呼びかけた。

非再生可能エネルギーに対するマスクのスタンスの軟化は、以前は民主党を支持していた彼が、化石燃料の使用と採掘の継続を支持する共和党に支持政党を切り替えたタイミングで起こったものだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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